モバイル放送清算で露呈、東芝「西田流」の綻び

800億円もの損失を計上

モバイル放送清算で露呈、東芝「西田流」の綻び

フラッシュメモリの市況悪化で第1四半期に242億円の営業赤字に転落した東芝。岡村正前社長(現会長)時代に進めた構造改革により、半導体事業は不況時にも赤字にならない体質を築いたはずだった。だが、結局は市況次第であることが露呈した決算だった。

半導体の赤字と合わせ、東芝はもう1つ大きな損失を確定させた。有料会員数わずか10万人で苦しんでいた連結子会社の衛星放送会社「モバイル放送」(36・9%出資)の清算だ。資本金拠出分135億円、融資380億円に加え、会員への補償金、設備撤去代金などの清算損250億円が、東芝が負うモバイル放送関連の損失。合わせておよそ800億円にもなる。資本金、融資分は前期までに引き当て済みだが、250億円は今期の特損として東芝の連結決算にインパクトを与える。

東芝が撤退検討時に現場は新事業を開始

“カネ食い虫”の解散を決めた西田厚聰社長の判断を、莫大な追加損失覚悟で断行した1月のHD DVD撤退になぞらえる向きもある。「西田社長らしい素早い事業の選択と集中」というわけだ。確かに、数字を基に冷徹に決断する西田流が、モバイル放送でも踏襲されたといえる。が、その陰では無視できない大きなハレーションが生まれている。

東芝の公式発表では「モバイル放送が取締役会において事業継続を断念。それを東芝が了承した」という形になっている。しかし、実際の順番はまったく逆だ。東芝は単独で放送停止を前提にした動きを進めていた。5月には総務省に対し、放送免許の更新期にあたる10月末で放送を終了する意向を報告していた(その後、5カ月間の延長申請を行い来年3月末までは放送)。

東芝が撤退の意向をモバイル放送側へ伝えたのは6月に入ってから。そのため、チグハグな事態が発生してしまった。モバイル放送では事業継続を前提に新事業に乗り出したばかりだったのだ。「高度利用者向け緊急地震速報」を配信する「Sバンド防災放送」である。

防災放送の配信を開始したのは3月24日。受信端末が出そろった5月から、日本気象協会など公的機関と組みながら本格営業を開始したところだった。高度利用者向け緊急地震速報は、地震の揺れが到達する前に警報を受けることができ、自治体、学校、工場などでニーズは高い。

既存の緊急地震速報サービスの料金は、同じ衛星を利用する宇宙通信の場合、パラボラアンテナ代が約300万円、月額利用料が3万円。それに対し、モバイル放送は端末代金40万円、月額利用料5000円と明らかに安い。価格競争力があり、高額な資金負担をできない中小自治体、工場、公共交通機関などへの普及が期待されていた。

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