日本にいながら日本語が話せない子を救え 社会から見落とされがちな「言語難民」の真実

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YSCグローバルスクールには、フィリピンや中国、ネパール、ペルーなどからの子どもたちが学ぶ
様々な社会問題と向き合うNPOやNGOなど、公益事業者の現場に焦点をあてた専門メディア「GARDEN」と「東洋経済オンライン」がコラボ。日々のニュースに埋もれてしまいがちな国内外の多様な問題を掘り起こし、草の根的に支援策を実行し続ける公益事業者たちの活動から、社会を前進させるアイデアを探っていく。

教室で孤立する子供たちを救うために

本記事はGARDEN Journarism(運営会社:株式会社GARDEN)の提供記事です

はじめまして。NPO法人青少年自立援助センターの田中宝紀(いき)です。東京都福生市で、外国にルーツを持つ子ども達に専門の日本語教育を行う「YSCグローバル・スクール」を運営しています。

全国の公立学校には、日本語がわからない子どもが3万7000人以上います。(文部科学省2014年)幼少期に海外にいたり、家族との会話が日本語でないためです。授業ではただ座っているだけになり、友達をつくることが難しい。日本語教育が必要な子どものうち約7000人は、人手不足から指導が受けられていません。いわゆる「言語難民」と呼ばれる子ども達です。

私たちはこうした外国にルーツを持つ子どもたちに日本語教育を提供し、18か国・400名を超える子どもの進学をサポートしてきました。

小学校入学を控えた親たちへのサポートプログラムには難民申請中の外国人も

特に、働く場や家族の問題で経済的に余裕がない親達は日本の公立学校に子どもたちを通わせる以外の選択肢がありません。また、外国人の母親が日本人男性と離婚し生活保護を受けているケースなどもあり、そうした家庭の子供たちが安心して日本語教育を受けられるように「無償」で専門の日本語教育を受けられる環境を提供してきました。

また、子ども達だけではなく、外国人の親向けに、学校の先生たちとコミュニケーションを取るのに必要な簡単な日本語や習慣についてレクチャーする講習会なども開いています。

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