改革続々、新生「湘南モノレール」の"熱い夏" 新車投入と23年ぶりダイヤ改正で利用者急増

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――商社から鉄道会社という異業種に転身することに対して抵抗はなかったのか。

湘南モノレールの尾渡社長(筆者撮影)

商社マンは、世界中、どこへでも出かけていって仕事をする。それと比較すれば、異業種とはいえ、日本語が通じる時点で、恵まれた環境だ。また、人や物を安全に輸送する手段を提供するということに関して言えば、商社時代に担当した自動車と、鉄道は共通する部分が多い。

さらに、経営面に関しては、部品会社の買収や物流網の立て直しなど、さまざまな領域の仕事を担当してきたので、医薬品のようにまったくの異分野でなければ問題ないという感触があった。結局のところ会社経営とは人が集まって何かをするということ。それ自体は業種を問わず、大きな違いはない。

――社長就任後、昨年6月には、じつに23年ぶりとなるダイヤ改正による列車増発を行うなどの改革を行っているが、利用者数は伸びているか。

安全輸送、使いやすいダイヤへの改正、バリアフリー対策など、鉄道事業者としての基本的な部分について、まずは、しっかりと対応を進めていくつもりだ。ダイヤ改正の効果もあると思うが、おかげさまで乗降者数は、定期券ベースで前年比3.2パーセント程度、全体でも1.7パーセント程度伸びている。また、増便したことで車内混雑が解消され、旅客の利便性・サービスの向上にもつながっている。

来年中にICカードに対応したい

――現在進めている駅のバリアフリー化について、今後の予定を教えてほしい。障害者だけでなく、沿線のお年寄りやベビーカーを使うファミリー層からの要望も多いと聞く。

湘南江の島駅エスカレーター・エレベーター棟内観イメージ(湘南モノレール提供)

この7月3日に、いちばんの課題となっていた湘南江の島駅の1階から改札のある5階までを結ぶエレベーターとエスカレーターを設置する新棟を増築する工事に着工した。エレベーターの供用開始は、2018年4月1日を予定しており、江の島がセーリング競技の会場となる2020年東京五輪はもちろん、2019年のプレ大会、2018年のプレプレ大会、2018年から3年連続で行われるセーリングW杯にも間に合う予定だ。

――湘南江の島駅以外のバリアフリー化の予定と、バリアフリー化と並んで要望の多い、PASMO・Suica等、ICカード対応の予定についても教えてほしい。

富士見町駅は今年3月末に上りホームのエレベーター設置が完了しており、下りホームは来年3月末に完成予定だ。また、湘南深沢駅は来年に工事を予定している。残るは目白山下駅のみとなるが、遅くとも、再来年までには工事を完了したい。ICカード対応に関しては、なんとか来年導入できるよう鋭意努力中だ。正式な導入時期は、決定次第、発表する。

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