仕事のできない人は「5W1H」がわかっていない ビジネスのあらゆる場面で使える万能ツール

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「A市場やB市場ではなくて、なぜそのC市場を狙うのか?」

「市場の細かい分析はわかったが、具体的には誰が買ってくれるのか?」

「新製品のスペックはいいとして、要はどんな“価値”をターゲット顧客に提供することが大事なのか?」

「すぐにそんなことできるのか? 大枠でもいいから事業展開ステップを示してくれよ」などなど……。

この会社に限らず、多くの発表内容が、さまざまなフレームワークを持ち出すことで、かえって論点が断片化したり、伝えたいことが総花化したりして、「要は何が大事なのか」が見失われがちになっているのです。

そんな中でも、経営陣の本質的な疑問や懸念にしっかりと答えたチームの提案は、図のような5W1Hをベースにした「Why-Howピラミッド」の構成でした。事業戦略の必要要素を考慮した適切な論点のセットにアレンジすることで、シンプルにして強力な戦略ロジックを自然に組み立てられる構造になっているのです。

シンプルに落とし込めなければ伝わらない

『シンプルに結果を出す人の 5W1H思考』(すばる舎)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

このように、ビジネスのあらゆる場面で状況に応じて5W1Hをうまく組み合わせれば、多種多様のフレームワークに「使われる」ことなく、シンプルで骨太なアウトプットを生み出すことができます。

コンサルタントやビジネススクールの講師をしていて、私が最近つくづく思うことは、どんなにカッコいいフレームワークを使ってどんなに難しい分析をしたって、シンプルに聞き手に伝わるように落とし込めていなければダメなんだよな、ということです。

業種や職種を問わず、ビギナーの方は筋のよい思考の基本を身につけるために、ベテランの方は筋のよい思考のへの原点回帰のために。5W1Hはうってつけの思考のツールといえます。

渡邉 光太郎 ランウィズ・パートナーズ代表

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わたなべ こうたろう / Koutaro Watanabe

東芝や大手シンクタンクを経て、MBA教育を手掛けるグロービスの企業研修部門の管理職として人材開発、組織変革のコンサルティング、講師活動などに携わる。現在はランウィズ・パートナーズの代表として、企業の事業戦略立案。・業務改革の伴走コンサルティング、講師、組織開発・組織文化改革のコンサルティングに従事するほか、フラワースタジオの経営なども行う。

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