日本でたった6台、特注ポルシェ911の実力 3334万円、607馬力のマシンにのってみた

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今回発表となった911ターボS エクスクルーシブシリーズは、そうした特別注文の流れをくむスモールシリーズの最新作。2017年6月末に英グッドウッドで発表した世界でわずか500台の限定車である。

ベースになっているのは911ターボSという、それ自体極上のスポーツモデルだが、こちらはその3.8リッター6気筒エンジンをさらに27ps(19kW)パワーアップし、607ps(446kW)の最高出力と750Nmの最大トルクを得る。

先日、わたしは幸運にもこのスペシャルモデルに、ツッフェンハウゼンで乗ることが出来た。

走りだしてわずか1分もあれば幸福感で満たされる

「高い性能に加えて、エクスクルーシブなボディパーツと高品質なインテリア装備を特徴とする」とポルシェが謳う特別な911は、ボンネットからルーフにかけてのブラックストライプがなんとペイントではなくカーボンファイバー製(!)で、ボディにカーボンファイバーのパネルを貼ったあと表面にまったく凹凸がなくなるまで丁寧に磨きあげている。当然だけれど。

「ほとんどの仕上げが手作業ですから、ストライプをエンブレムのまわりにきれいに貼れるか緊張します。もし失敗したら? そのボンネットはもう使いません」。工房で働く担当者の言葉だ。

当日、試乗車に対面したのは、ポルシェ ミュージアム前のクルマ寄せだった。シンボルカラーのゴールデンイエローメタリックと、やや地味ながら逆に迫力満点のアゲートグレイメタリック、それにキャララホワイトメタリックの3台が用意されていた。

ドアを開けると特別なシートが目に入る。ヘッドレストの部分には「turbo S」の縫い取り。縁はボディと同色のステッチで、中央部も車体色を使った2トーンの仕上げと凝りまくっている。

走り出しは、いっさいのタイムラグも感じない。ステアリングホイールを切ったときの反応も一瞬の遅れもない。走りだしてわずか1分もあれば幸福感で満たされる。こんなクルマはそうないだろう。

911ターボSの良さは、しかも全体に控えめであることだ。ことさらスポーティさを強調しない。求めるなら与える、という感覚が常にすばらしい。加速力は目が覚めるほどだ。2250rpmから750Nmもの最大トルクを発生しはじめる設定だけに、発進からトルクは途切れることがない。こんこんと力が湧きだしてくる印象なのだ。

3つ並んだ円形メーターの中央には、7000rpmあたりにレッドゾーンがはじまることを示す赤いマークが刻んであるが、そこまでエンジンを回せたらどれだけ気分がいいだろう。一般道では想像するにとどまる。もっともエンジンをレッドゾーン近くまで回さなくても、十分な至福感を得られる。雲に乗ったらこんなふうかと思うような滑らかな加速をみせるのだ。

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