京王の「通勤ライナー」は他社とはひと味違う 先頭形状は鋭角で、車内案内はステレオ放送

拡大
縮小

車内に入ると、茶色とグレーのツートンカラーのシートが目に飛び込んできた。茶色は高尾山の深い木々、グレーは繊維の街・八王子の絹糸をイメージしたという。通常時は普通の通勤電車と同じ横一列のロングシートだが、有料座席指定列車として使用する際は座席が回転し、2人掛けクロスシートに変身する。なお、車両の両端部の優先席は回転せず、有料座席指定列車時もロングシートのままで使用される。

5000系のクロスシート時(撮影:尾形文繁)
5000系のロングシート時(撮影:尾形文繁)

最近は電源コンセントが付いている列車が増えており、5000系にも設置されている。ロングシート時にはコンセントは背部に格納されているが、クロスシート時に使用可能になる。回転をしない優先座席のコンセントはロングシート時でもむき出しの状態なので使えそうだが、「有料座席指定時以外は通電していないので、コンセントに差し込んでも充電はできません」とのことだ。よく見たら、そうした注意書きも貼られていた。

天井には車内ビジョンが設置されている。普段は路線案内などが表示されるが、将来は「広告展開も考えたい」という。そういえば、天井には中吊り広告スペースがない。天井の車内ビジョンと中吊り広告の両立は難しいようだ。ちなみに中吊り広告スペースがないことについて、広告主からの問い合わせはなかったという。JR山手線用車両「E235系」が2015年3月に登場したときには、中吊りスペースがないことが大きな話題になったが、状況はだいぶ変わったようだ。

消費電力は大きく低下

ほかにも、LED間接照明を採用し、通常列車として使用する際は白色、座席指定列車として運行する際は落ち着いた暖色とシーンに合わせて調光したり、微粒子イオン搭載の空気清浄機や無料公衆無線LANを設置したりするなどのサービス機能も向上させた。「外観だけでなく、実際に乗って座り心地の良さや騒音が減ったことを実感してほしい」(若松課長)。

乗客から見えない部分でも、従来車両から大きく改善した部分がある。いちばん大きなものは車上蓄電池システムの導入だ。電車がブレーキをかけた際に発生する回生電力を蓄電池に充電し、電車が走行する際の電力として供給するとともに、停電で駅間に停車したときは、蓄電池に充電した電気を利用して、自力で走行することが可能という。また、省エネ性能の高い新型VVVFインバータ制御装置を導入したことで、昭和40年代頃に製造された車両と比べると、消費電力は3割以下まで減ったという。

次ページ新車両の投資額は?
関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT