2020年の夏季五輪は、東京で決まり? 吉崎 達彦が読む、ちょっと先のマーケット

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2度目のプレゼンの方が、重要だ

仮に1回目の投票でマドリード、東京、イスタンブールという順になったとしよう。過半数の得票を得る都市がなければ、上位2都市による決選投票になる。東京としては、ここはイスタンブール票を取り込まなければならない。従って、1度目よりも2度目のプレゼン内容が重要になってくる。東京招致を目指すスピーチライター陣は、今頃はこの辺の段取りに頭を悩ませているはずである。

結論として、東京招致実現の確率は半々くらいであろう。少なくとも、卓上のまんじゅうをスッと手にするような戦いではない。結果が判明するのは、日本時間では9月8日の日曜日午前5時ごろ。その成否は、政治と経済の両面で大きなインパクトを与えるはずである。

ところで11日間にわたる夏季休暇を終えた安倍首相は、今週末から外遊三昧の日程に入る。まずは24日からの中東・アフリカ歴訪である。行先はクウェート、バーレーン、カタール、ジブチの4か国。バーレーンを除く3か国には、それぞれ1人ずつIOC委員が居るので、「ひとつよろしく」なんて話も出るのかもしれない。

中東・アフリカの次は、ロシア出張である。9月5~6日には、サンクトペテルブルクで行われるG20に出席する。会議そのものの重要性は薄いが、習近平国家主席や朴槿恵大統領との「立ち話会談」があるかもしれないのが注目点。もっとも確率的には低いと見ておくべきであろう。余談ながら、中国は3人、韓国は2人、北朝鮮は1人、香港にも1人のIOC委員がいる。この辺が「票田」にならない点が、日本外交の辛さである。

ロシアでの安倍首相は、「心ここにあらず」かもしれない。G20は早々に退席し、そのまま政府専用機で冬の南半球に飛び、ブエノスアイレスに飛ぶ。「東京に、皆さまの清き一票を!」という最終プレゼンテーションを買って出るはずである。

これでめでたく五輪開催地が東京に決まれば、「お見事」ということになって安倍首相は喝采を受ける。ダメだった場合は、「やっぱり、猪瀬さんが良くなかったかなあ」などと表だっていわなくても、さりげなく東京都知事を悪者にできる。勝てば官軍、負ければ知らんぷり、というおいしい構図が以前の「読み筋」であった。

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