二重国籍疑惑を報じると「差別主義者」なのか 批判者を敵視する蓮舫氏の姿勢は変わらず

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しかし蓮舫氏は代表選告示日(9月2日)の会見で「台湾国籍を放棄し忘れているという指摘があるが」との質問に対し、「ごめんなさい、それわかんない」と返答した。ようやく自身の二重国籍を認めたのは9月13日だったが、この時はもう党員・サポーターの投票は完了していた。

もっとも台湾籍離脱に向けての努力は行われていた。

9月23日には台湾代表処から離脱手続きが完了した旨の連絡があり、喪失国籍許可証書等が交付された。これに基づき蓮舫氏は9月26日に外国国籍喪失届を提出するが、日本が台湾を政府承認していないために書類が戸籍法106条2項に該当しないとして10月7日に不受理となっている。

そこで同日、蓮舫氏は戸籍法104条の2に基づき、国籍選択宣言を行った。付随して課せられた国籍法16条の「外国の国籍の離脱に努めること」は、台湾代表処から喪失国籍許可証書を交付されたことで充足させた。こうして蓮舫氏の戸籍には「国籍選択 【国籍選択の宣言日】平成28年10月7日」と記載された。これについて蓮舫氏は、口頭で報告している。

しかし当初は二重国籍を否定するなどこれまでの説明が二転三転したこと、および蓮舫氏が生まれたのが父系優先制度をとっていた旧国籍法時代で、国籍法改正により日本国籍が付与されたこと、さらに父親が日本と正式な国交のない台湾籍であったことが事情を複雑にした。会見では客観的な証拠が求められた。中でも戸籍はもっとも正確な証拠といえるが、蓮舫氏はその開示に頑として応じなかった。

今になって開示したのはなぜか

ところが、開示をした。その理由として持ち出されたのが自身の子どもたち。20歳になって了解を得たことから公開に踏み切ったという。

だが公開された戸籍の資料には子どもたちに関する記載はなく(その必要がない)、彼らのプライバシーの侵害はない。むしろ公開が遅れた口実のようにしか思えない。

蓮舫氏が最初からきちんと説明をしていれば、疑いの目を向けられることはなかったはずだ。そして民進党の政党支持率は今よりは高かったかもしれないし、都議選でもこれほどの大敗はしなかったかもしれない。

それを怠ったのは他でもない蓮舫氏だが、その自覚はあるのだろうか。冒頭で述べた戸籍に関する発言を見る限り、そうは思えない。

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