マツダ、最重要の米国で挑む「ブランド改革」 20年ぶりの日本人トップ、販売店評価も一新

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米国における新世代店舗。白と黒を基調にした内装が特徴の一つだ(写真:マツダ)
かつて「浮沈を繰り返す会社」と揶揄されることも多かった中堅自動車メーカーのマツダ。リーマンショック後に4期連続の最終赤字に陥ったが、環境性能と走行性能を両立した「スカイアクティブ」技術と新デザインを採用した商品群のヒットで復活を遂げた。
そして今取り組むのが、米国市場での販売改革だ。マツダの世界販売に占める米国の割合は約2割だが、「利益の半分以上を稼ぐ」(国内証券アナリスト)。同市場での成否が、今後のマツダの行方を左右する。
昨年、日本人として約20年ぶりに北米統括会社社長に就いた毛籠勝弘専務執行役員がこのほど、東洋経済のインタビューに応じた。

再購入率の低さに問題

――北米統括会社のトップに着任して何を感じたか?

一つは販売網の弱さだ。販売網が駄目だと、結局いい商品があっても駄目だということ。販売網と商品は車の両輪で、両方が揃っていないと絶対成長しない。結果として参入以来47年間、質的な成長ができていなかった。

もう一つは(本社のある)広島と米国の統括会社や販売店との距離がこんなにあるのかということ。マツダのユニークさ、なぜ「人間中心のクルマづくり」や「人馬一体の走り」を目指しているのか、根底の部分が伝わっていなかった。

――販売網の何が弱いのか?

顧客の再購入率がきわめて低い。ここに問題が全て集約されている。2011年は26%しかなかった。新商品群の投入後は順調に改善しており、2016年は約39%となった。しかし業界平均の約55%と比べるとまだまだ差がある。逆に言うと好機であり、再購入率の問題を解決すればマツダのビジネスは良くなる。

そこでまず売り方の価値観を変えた。販売店にとって「台数」は確かに分かりやすい尺度。しかし今は販売台数に応じた奨励金を一切出していない。代わりに昨年7月に新しい評価基準を導入した。

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