売り手市場の今こそ新卒採用を控えるべきだ 大企業は「人手不要」の時代に備えよ

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リストラを一概に否定できるものではありませんが、社長たる者、簡単にリストラを考えてはいけないということは、心しておく必要があります。まして、紙1枚、電話1本で「明日から出社に及ばず」のようなことをしてはいけません。

そのようなことをすれば、リストラされた人たちが、会社に恨みを持つ、怨念を持つ。持つだけならいいのですが、その会社の批判をして回る。いきなり人斬(き)りをするような残酷な会社ですよ、冷たい会社ですわ、社長は無能でね、などと吹聴します。

米国は米国、日本は日本

社長がそうした悪評を軽く考えていると、会社の消滅にもつながることにもなる。倒産し、あるいは海外企業に買収された家電メーカーを思い出せば、おわかりになると思います。

いや、米国ではこういうことは当然に行われているじゃないかと思われるかもしれませんが、かつて松下幸之助さんが「外国の考えをそのまま日本の経営に取り入れても役に立たん。日本的に翻訳して活用するようにしないといけない」と常々言っていましたが、アメリカでやっているから、外国でやっているからということは、参考にしても、そのまま活用してこの日本で成功するという可能性は限りなく小さいと思います。

アメリカはアメリカ、ドイツはドイツ、日本は日本。それぞれの国民性や伝統精神を前提にすることが大事でしょう。そのままをまねて成功するはずがない。そもそも、赤字経営になったので人員をカットする、リストラするという単純な発想で会社を経営するのは、実に無策、無能な経営者、社長といわざるをえないと思います。

およそ、社長たる経営者が心掛けなければならないのは3つあります。1つは言うまでもなく「無駄の削減」。1つの仕事に余分な費用を使っていないのか、無駄な業務をしていないか、無駄な交際費、タクシー代を使いすぎていないかなどといった点をチェックし、削っていく。このような「無駄の削減」、すなわち「仕事の合理化」に取り組まなければなりません。

もうひとつ、社長として取り組まなければならないことは、「非効率の排除」。すなわち、今まで、決済期間が3週間、なかには1年もかかっていないか、連絡に時間がかかりすぎていないか、仕事を後回し、時に時間をかけすぎていないか、お客様の対応をすぐしているかなど、確認し改める。これが「非効率の排除」、すなわち「仕事の迅速化」に取り組むことが大事ということです。

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