2人の娘を虐待する夫にどう対応するべきか 幼児虐待を傍観しているのは同罪です!

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憂子さんはぴんぴんしていて、長女は母親宅で出入り禁止中でした。憂子さんとその長女が元夫の再来かと思うほどうそつきで働かず、借金をするのが平気な子だと言います。

その長女は、私が母親である憂子さんに電話すると自分のうそがばれるのに、それを拒否する判断もつかないようで、平然としてヘラヘラ笑っていました。幼児期に受けた母親の激しい暴力が、長女を「壊した」としか思えません。ちなみに、愛情を一身に受けた次女は高校の教師になっていました。

緊急避難しよう

各市町村には、子ども虐待防止に関する相談窓口があります。支援体制が万全でないところもあるそうですが、とりあえず1人で抱え込まず、そのような窓口や頼りになる親戚や友人などの助けを借り、子どもに、父親から離れて暮らす環境を作ってやるべきです。

父親から虐待され、「自殺せよ」と迫られた中学生の少年が、本当に自殺した事件がありました。少年は虐待された外傷の原因を学校の先生に尋ねられても、最後まで父親をかばい、自分1人で負った傷だと言い続けたそうです。

父親をかばって、少しでもその愛情を得たいと思ったのか、本当のことを言って復讐が怖かったのか、父親の暴力が母親にまで向かうのを恐れたのかなど、いろいろ取りざたされました。はっきりしていたことは、母親はその暴力に心を痛め、ときどきは息子に「大丈夫か」と声をかけていましたが、それだけでした。私は母親も、「子どもの死を守れなかった」という意味においては、結果的に同罪だと思います。

お嬢様はパパを拒絶しないそうですが、それが最大の防衛だと本能的に体で覚えた可能性もあります。理由もわからず「パパごめんなさい」と謝るお嬢様は、それで早く、暴力をやめてほしいと懇願しているのです。心にもないことを言うすべを、早期教育しているようなものです。

どんな形でも、母親の責任で父娘を切り離すべきです。大事は突発的で、起こってからでは遅いのです。しかも大事に至らなくとも、今の状態が十分に危険いっぱいな日々だと、あなたが認識して行動するべきです。暴力夫による幼児の殺人未遂を、決して、傍観してはなりません。

ミセス・パンプキン 『最強の人生相談』『一流の育て方』著者

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立命館大学卒業。ビジネスパーソン向けの家庭問題・人間関係・人生相談の専門家として、東洋経済オンラインで2012年より執筆。最新刊は『最強の人生相談』(東洋経済新報社)。息子であり、『最強の働き方』(東洋経済新報社)の著者であるムーギー・キム氏との共著に、『一流の育て方 ビジネスでも勉強でもズバ抜けて活躍できる子を育てる』(ダイヤモンド社)がある。ミセス・パンプキンへの相談は、こちらのメール、あるいは相談受付サイトで受け付けています。なお相談件数多数につき、過去に類似する相談があった場合には取り扱いません。ぜひ、これまでの連載をご参照ください。男性からのご相談も歓迎しております!

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