タカタ倒産劇で透けて見える「銀行側の事情」

変わるメインバンクと企業の距離感

2000年代に入り、企業業績の低迷とともに私的整理が活発化した。この頃、「民事再生法」も施行され、以前よりは簡単に法的整理ができるようになったが、やはり、大企業については私的整理が主流だった。

この頃から製造業のケースも増加した。たとえば、集団食中毒事件で2002年に経営難に陥った雪印乳業。メインバンクの農林中央金庫は、雪印の借入総額に占める融資シェアは35%にすぎなかったが、債権放棄額全体の77%を負担した。

同じく2002年に私的整理を行ったケンウッドでは、メインバンクのあさひ銀行 (現りそな銀行)の融資シェアは借り入れ全体の43%程度を占めるにすぎなかった。しかし結局あさひ銀行は、250億円の債権放棄額の全額を負担した。按分負担なら、250億円のうちせいぜい100億円の負担で済むはずだった。

ちなみに、米国にも司法を介入させずM&AやDES(債務の株式化)のみで再生する手法は存在する。しかし、米国では倒産のイメージが日本ほど悪くないため、再生型倒産のチャプター11が選ばれやすい。さらに、日本と異なり、裁判所に代わって銀行間の調整を図るメインバンクが存在しないことも大きな違いだ 。

タカタもかつては「日の丸企業」だった

このように私的整理は、メインバンクが先頭に立って、銀行間の利害を調整することが前提になる。相当な犠牲を強いられるため、メインだからといってどの企業でも支援するわけではない。

では銀行は、どんなときに、どんな企業なら支援するのか。たとえば筆者が格付け会社にいた頃、企業の信用格付けには、メインバンクによる支援の可能性も織り込まれていた。

その判断基準には、その企業の市場地位、技術力の高さ、倒産した場合の社会的影響度、銀行との株式持ち合いや人的つながりの有無、メインバンクの体力などが含まれていた。この基準でいけば、日本の製造企業は支援を受けやすい。現在東芝は、銀行から手厚い支援を受けて存続しているが、この辺りの条件を見ればそれも納得できる。

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