ライオンの曲がる歯ブラシは救世主となるか 事故防止の期待を受けて2.5倍売れている

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2月の協議会の最終報告では、歯科医師や小売り、消費者団体が保護者に注意喚起を行うとともに、「衝撃吸収性などを持たせた歯ブラシの普及が重要」と歯ブラシメーカーの商品開発の重要性も訴えた。

そんな中で発売されたのが、クリニカKid’sだった。販売価格は200円前後に抑えているうえ、従来品に比べて1.2倍歯垢を落とせるという。東京消防庁が3月に歯ブラシ事故防止のリーフレットを作成し、保育園や幼稚園、病院などに配付したことも販売の追い風になった。

ただ、ライオンのオーラルケア事業部でクリニカKid'sを担当する横手弘宣ブランドマネジャーは、「曲がることで衝撃低減は図っているが、事故を完全に防げるわけではない」と話す。

親の見守りは必要

クリニカKid'sの販促用ディスプレイでは、曲がる歯ブラシの隣に仕上げ用歯ブラシを展開している。(記者撮影)

クリニカKid'sのリニューアルは、哺乳びんに近い素材を使うことで、小さいうちに歯ブラシを口内に入れる抵抗感をなくし、歯磨き習慣を促すこともコンセプトにある。

都内の歯科医師は「事故防止を商品に頼るのは本末転倒。親が子どもの歯磨きを見ていることで事故は防げる」と指摘する。

曲がる歯ブラシを使用しているから、親が見ていなくても大丈夫、というわけではない。子どもの歯磨き事故を防ぐには、親が目を離さないことが大切なことには変わりはない。

若泉 もえな 東洋経済 記者

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わかいずみ もえな / Moena Wakaizumi

東京都出身。2017年に東洋経済新報社に入社。化粧品や日用品、小売り担当などを経て、現在は東洋経済オンライン編集部。大学在学中に台湾に留学、中華エンタメを見るのが趣味。kpopも好き。

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