日本株に長期投資するならメガバンクを狙え フィンテック進化で皆がそろそろ重要性に気づく

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さて、前述したように5年間保有し続けられる、その根拠をどこに求めれば良いのだろうか。企業が持つ成長性か、それとも割安感か。対象となる企業の長期的成長力を見極めることが最も重要だが、将来を予測することは難しい。だから、私たちは先の展望をしっかり見据えたうえで、今、判定できる企業の実体価値と株価の間にある価値との差異に着目する。

株式を長期保有できる根拠として最もわかりやすい実質価値は、配当だ。高い配当利回りを維持しており、投資家に対してきちんと配当を継続してきた企業の株式を過去の実績にさかのぼって見ていく必要がある。かつ、今後5年間は最低でも今のレベルで経営を続けられそうだと思える企業を選ぶようにする。

成熟産業のメガバンクを狙うのはナンセンス?

はたして、そのような銘柄があるのかということだが、意外と思われる企業がこれに該当すると、最近、私は考えている。メガバンク株だ。メガバンクの配当利回りは3%前後で、ほかのセクターに比べて高い。加えて、銀行の業績は、現在のマイナス金利という異常な環境下でも非常に安定している。銀行というと、成熟経済になった今の日本において、それほど魅力的な投資対象には見えないかもしれないが、現実は違うと私は思うのである。

阿部社長は「今後1~3年で銀行ビジネスが持つ付加価値に気づく投資家が増える」と断言する(写真:スパークス・グループ)

預金を通じて集めた資金を、銀行などの金融機関は貸し出しに回しているが、貸し出し総額は都銀等10行で210兆円、地方銀行は235兆円にも達する。

金融庁が地方銀行の経営に気を配っているのは、地銀を経由した資金の融資が、人体の毛細血管のように、日本の津々浦々にまで入り込んでいるからだ。

またメガバンクは、海外に70兆円から80兆円を融資し、その残高が伸びている。それに加え、「振込手数料」や投資信託の「販売手数料」など役務収益も増加傾向をたどっている。

今、長期保有すべきは、こういう企業、つまりメガバンク株を狙うべきだと、私は考えている。

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