「噴水」の奥深さをどれだけ知っていますか

そもそもは権力を誇示する存在だった

上野恩賜公園の噴水(写真:tsuch / PIXTA)
モノ情報誌のパイオニア『モノ・マガジン』(ワールドフォトプレス社)と東洋経済オンラインのコラボ企画。ちょいと一杯に役立つアレコレソレ。「蘊蓄の箪笥」をお届けしよう。
蘊蓄の箪笥とはひとつのモノとコトのストーリーを100個の引き出しに斬った知識の宝庫。モノ・マガジンで長年続く人気連載だ。今回のテーマは「噴水」。夏の暑さが本格的に増してきた今の時期に癒やされるスポットだ。あっという間に身に付く、これぞ究極の知的な暇つぶし。引き出しを覗いたキミはすっかり教養人だ。

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01. 「噴水」とは、池や湖、庭園や公園、公共広場などに設けられる水を噴出する装置のこと

02. 水を噴き上げる仕組みは、水の落差を利用したもの、モーターなどの動力とポンプを使用したものがある

03. 日本語の噴水は人工的な「上方向への噴出」の意味合いが強いが、英語の「fountain」は天然の泉も含む

04. 噴水の形状はさまざまで、上方に水を噴き上げるだけのものあれば、噴出の強さを変えられるものもある

05. 他にも可動式ノズルで多様な形状が作れるもの、二段噴水や三段噴水など階層を複数にしたものも見られる

06. 近年ではライトアップ機能が付加されたものや、音楽に連動して水の形が変わる噴水なども増えている

07. 噴水の起源は明らかではないが、紀元前3000年の古代メソポタミアの遺跡にも噴水らしき跡が残る

08. 古くからイスラム教のモスクやキリスト教の聖堂前庭も噴水が設けられたがこれは身を清めるためのもの

09. 紀元1世紀、古代ローマでは水道工事が盛んに行なわれ、20kmにも及ぶ水路が張り巡らされた

10. ローマ郊外の水源に始まるこの水路が詰まらないようにと、その終端に作られたのが噴水だった。

コロッセウムの脇に設けられていた噴水

モノ・マガジン8月2日号(7月15日発売)。特集は「スバル、昂ぶる」などです。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

11. 噴水には誰でも飲み水が得られるという利点もあったが、コロッセウムの脇にも噴水が設けられていた

12. これは「メタ・スダンス」(汗をかく標識)と呼ばれる噴水で闘いを終えた剣闘士が体を洗うのに利用された

13. その後、中世欧州の都市では、水道工事の完成記念に広場に華麗な装飾を施した噴水を設置するようになる

14. ポンプのない時代には地形的に高い位置にある水源からパイプを通じて水を噴き上げさせていた

15. 15世紀以降、欧州にポンプ技術が広まると地形的制限がなくなり、庭園には必ず噴水が造られるようになった

16. 水は高→低に流れるという自然の摂理に反し、下から吹き上がる噴水は人々に権力の誇示と刺激を与えた

17. イタリア・ルネサンス期の15世紀半ば、メディチ家を中心とした都市貴族は庭園付き別荘を建て始める

18. 16世紀に入るとローマ郊外の丘陵地帯に斜面を利用した階段状のテラスのある庭園が次々と造られていく

19. 貴族たちはこのテラス部分に噴水や階段状に落ちる滝(カスケード)、壁泉などを設け特長的に水を多用した

20. その代表ともいわれるのが世界遺産にも指定されているイタリア・チボリの「エステ家の別荘」である

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