「東京パラリンピック」が真にスゴいその理由

五輪を超える「レガシー」生む巨大な可能性

こうした状況を受けて、東京パラリンピックに向けて総額100億円の支援を表明したのが日本財団。2015年に「日本財団パラリンピックサポートセンター(パラサポ)」の開設にこぎ着けた。

パラサポには、20以上の競技団体の事務局が集結。競技団体の経費処理や海外とのやり取りに伴う翻訳・通訳など、競技・種目にかかわらず発生する業務を支援する共同バックオフィスを設けた。これは、世界的にも実に画期的で、最先端の取り組みだった。

パラリンピック競技のために、バリアフリーで設計されたシェアオフィスを設置して業務のアウトソーシングもしたことは、健常者の競技団体でも海外の先進国でも、ほかに実現していないことだ。

各競技を統括する競技団体の基盤が強化され、さまざまなリソースをマネジメントできるようになって、初めて大きな成果につながる。国の強化費が増えていても、それだけでは2020年東京パラリンピックの成功は望めない。そのことを、しっかりと見据えて立ち上げられたのがパラサポだった。だからこそ、将来の競技団体を担う事務局長となる人材の雇用・育成も進めている。

パラリンピックの「本当の成功」には何が必要なのか

そして、東京パラリンピックが成功したと評価できるかどうかには、もう一つ、忘れてはならない観点がある。

ロンドン大会ではパラリンピックも会場が埋まるほどの観客が入ったという。2020年、東京大会で関係者以外の多くの人々がパラリンピックを見て、応援して楽しみ、その後も支えるようになって、始めて「成功した」と胸を張っていえるのではないだろうか。

テレビなどメディアで取り上げられる機会が多くなったとはいえ、日本でのパラリンピックへの関心はまだこれから、というところだ。パラサポでは、子ども向けのパラスポーツ体験事業「あすチャレ!スクール」を実施したり、障害の有無にかかわらずスポーツと音楽とを楽しめる「Para Fes 2016」を開催したりと、情報発信にも力を入れている。

パラリンピック競技は、現地で見学したり、実際に体験してみて得られる"気づき"も多い。車いすバスケットボールを例に挙げてみよう。車いすを操作しながら、立っているよりも低い位置からボールを投げて、バスケットゴールにシュートを決めるのは相当に難しい。ひざのバネを使えないので、シュートの際に上半身の力がより重要になる点も違ってくる。車いすがなくても、いすに座ってシュートを打ってみれば、おわかりいただけると思う。

あるいは、音だけを頼りにボールを扱い、走ることの難しさ。これらを難なくこなしてしまう選手たちがいかにスゴいアスリートなのかを実感できる。スポーツとしても十分に成立する面白さを持つパラリンピック競技、ぜひ一度体験してみてはいかがだろうか。

そして、競技以外のところでも、パラリンピアンと行動をともにして、気づかされたことがある。

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