イノベーションがもたらす「次世代決済戦略」

買い物は、ビジネスは、どう変わる?

宮居 雅宣
野村総合研究所 金融ITイノベーション事業本部金融デジタル企画二部 上級コンサルタント。大手カード会社で事業企画部門、セキュリティ部門を経てICカードやネット決済を担当。カード業界代表幹事として国や民間の各業界とETCを実現するなど、業界のIC化を牽引。「子カード方式」「DUALインターフェイス」などの用語を発案。05年より野村総合研究所にて、電子マネーの立ち上げや新決済サービス実現支援など、決済関連コンサルティングに従事。 著書に『キャッシュレス革命2020 電子決済がつくり出す新しい社会』(「キャッシュレス革命2020」研究会編集、日経BP社)、『2015年の決済サービス』(野村総合研究所決済制度プロジェクトチーム著、東洋経済新報社)など

決済手段の多様化によって、長らく現金決済が主流であったここ日本でもキャッシュレス化が進んでいる。IT技術の進化やスマートフォンの浸透で、決済に伴う新たなサービスが登場する中で、ビジネスも大きく変わろうとしている。ここでは、決済サービスに詳しい野村総合研究所上級コンサルタント・宮居雅宣氏に、日本の決済を取り巻く現状や課題、そして将来の姿について話を聞いた。

 

―日本での決済手段は、どんな状況にありますか。電子決済は浸透しましたか。

宮居 現状、日本は電子決済が少ないというよりも、現金決済が想像以上に多いです。海外ではクレジットカードやデビットカードなどを使った電子決済が主流であり、いまだに現金決済が多数派というのは世界的に見ても珍しい現象と言えます。日本では歴史的に現金に対する信頼感が強いこと、さらに現金を持ち歩いても海外と比べて安全だということが、大きな理由だと思われます。

―他国と比較すると、どれくらいのレベルなのでしょうか。

宮居 たとえば、スウェーデンでは店頭で現金を出すと怪しまれるくらい進展していて、現金支払の割合は約2%しかありません。日本は逆に電子決済の割合が、クレジットカードと電子マネーを合わせても20%程度しかありません。クレジットカードよりも現金決済のほうが大きく割り引かれたり、ポイントが多く付くといった日本の商慣習が、色濃く影響しているのでしょう。

―日本では、どのようにキャッシュレス化が進んでいますか。

宮居 訪日外国人の消費を促す意味もあり、政府がキャッシュレス化に向けて動き出しています。クレジットカードや交通系ICカードだけでなく、QRコードを使って決済できるなど、決済の多様化が進んできました。

―スマートフォンを使った決済も進んでいますね。

宮居 この分野では、ビジネスチャンスがたくさんあるということです。フィンテックの進化によって新しい技術も数多く生まれています。スマートフォンにカード読み取り機能を加えたり、あるいはスマートフォン本体でも決済できるようになりましたね。その結果、従来のクレジットカードと比べて決済手数料が低減されたほか、蓄積された購買データを生かすことで、販売業者にもさまざまなメリットが生まれつつあります。

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