女子高生AI「りんな」はまだ序章にすぎない 「チャットボット」がスマホを激変させる

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りんなの人気を支えているのは、マイクロソフトの検索エンジンで収集した膨大なデータや、クラウドを活用した機械学習プラットフォームなど最新技術の数々。りんながユーザーとのスムーズで楽しい会話を実現しているのは、高いAI技術がバックにあるからだ。

そして実はここ最近、IT大手がこぞって高度なAI技術を活用したチャットボットに力を入れようとしている。りんなはあくまで、チャットボットの可能性を示すショーケースの1つにすぎないのだ。

IT大手がチャットボットに力を入れる理由

マイクロソフトは昨年、同社のAIアシスタント「Cortana」のチャットボットへの活用など、チャットボットを開発しやすくする仕組みを開発者向けに提供することを発表。さらに同社のメッセンジャーアプリ「Skype」上で、チャットボットを提供しやすくするための環境整備も進めている。

米フェイスブックも昨年、メッセンジャーアプリ「Facebook Messenger」上で動作するチャットボットを提供するためのプラットフォームを、開発者向けに提供すると発表。国内でも昨年にLINEが、LINE上で動作するチャットボットを導入できる仕組みを提供。すでにいくつかの企業がLINE上で提供を開始しているようだ。

なぜ、IT大手はチャットボットに力を入れるのか。それは、チャットボットがビジネスに直結するからだ。特に現在、最も期待されているのが、ユーザーサポートの省コスト化である。最近はWebサイト上に、商品やサービスに関してチャットでオペレーターに質問できる仕組みを導入する企業が増えている。チャットボットを取り入れると、オペレーターを介在させることなくサポートを提供でき、大幅なコスト削減につなげられる。

もちろん現在のAIの性能では、顧客の質問すべてに満足のいく回答を提供できるわけではない。だが多くのユーザーがしてくるような質問にはチャットボットが回答し、それでも対応できない場合はオペレーターに交代するという仕組みにするだけでも、サポートの省力化を実現できる。

今後AIの精度が高まれば、一層幅広いサービスに対応するチャットボットが登場するだろう。Webサイトを探したり、アプリをダウンロードしたりすることなく、チャットボットと会話するだけで買い物ができたり、レストランやホテルの予約ができたりするようになる。

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