セブンとアスクル、「火災」が生んだ渾身提携 これはアマゾンを意識した動きなのか

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今回の提携で何を始めるのか。目玉の1つが「IYフレッシュ(仮称)」と銘打ったサービス。生鮮食品やセブン&アイのPB(プライベートブランド、自主企画商品のこと)「セブンプレミアム」を注文の翌日に届けるものだ。

セブンプレミアムは3月から生鮮品を始めるなど、品ぞろえを強化している最中だ(撮影:梅谷秀司)

アスクルの流通網を活用し、配送時間帯を1時間単位で設定できる。商品供給は主にセブン&アイ傘下のイトーヨーカドー、システムや物流はアスクルが担う。

2017年11月末に東京都新宿区、文京区でサービスを開始し、2018年5月ごろには東京西部・北部へ拡大。2018年中には東京23区、2020年秋ごろには首都圏にサービスを広げる計画だ。

イトーヨーカドーは自前でネットスーパーに取り組んできたものの、「店舗ごとに配送体制を持つ現在のやり方は非効率。アスクルと協力して効率的な形を作る」(井阪社長)のがセブン&アイ側の狙いだ。

セブンのECサイトは厳しい状況

今回の提携には、グループ横断の通販サイト「omni7(オムニセブン)」について、物流やサイトの開発、運営に向けた検討も盛り込まれている。IYフレッシュの取り組みにとどまらず、グループ全体のEC戦略においても、アスクルのノウハウを取り込む構えだ。

背景には、セブンのEC戦略の厳しい現状がある。2015年11月にオムニセブンを開始し、2018年度に売上高1兆円という目標をぶち上げた。だが、2016年度のオムニセブンの売上高は976億円にとどまっている。

M&Aをテコに商品を拡充してきたが、その成果は一向に見えてこない。井阪社長は「自前にこだわって(サイトを)構築していてはユ-ザーのニーズに合わない」と吐露する。そこでアスクルのノウハウが必要と判断したのだ。

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