Uberが直面する創業者追放よりデカい問題

チップ支払いを始めたワケ

ウーバーは人々の生活にとって欠かせないものになっているが…(写真:Edu Bayer / The New York Times)

セクハラ、取締役の性差別発言、そして法令順守を軽視する企業文化――。一時は飛ぶ鳥も落とす勢いだった米配車サービス大手ウーバー・テクノロジーズが、社内のゴタゴタに揺れている。6月20日には、トラビス・カラニック最高経営責任者(CEO)が辞任を表明。前週に休職を宣言したばかりだったが、もっと思い切った身の処し方を、取締役会に迫られたらしい。

その騒動にすっかり隠れてしまったが、ウーバーは同日、重要なポリシーの変更を発表した。ウーバーのアプリに、チップを支払う機能を追加するというのだ。7月中に全米で運用が開始されるという。「ウーバーではチップは不要」は、同社が長年守ってきたポリシーであり、その突然の変更は180度の方針転換に近い。

チップを支払うとなると、乗客と運転手の間に気まずいやり取りが生まれ、シームレスな取引に「摩擦」が生じる――。それがウーバーがチップを不要とする理由だった。黒人スタッフよりも白人スタッフのほうが受け取るチップの金額が多いという、コーネル大学の研究を引っ張り出してきたこともある。だからチップ支払い機能を追加すると、人種差別につながるおそれがあるというのだ。

CEOの無神経発言に批判噴出

ウーバーの運転手は世界に200万人以上。彼らとカラニックとの間には、かねてから緊張した関係が続いていた。運転手はウーバーのサービスの請負業者であって、社員ではないから、車の維持費や事故は自己責任。なのに収入は、ウーバーが一方的に決めるポリシーと料金体系に大きく左右される。運転手のニーズにまったく無関心の(少なくともそう見える)カラニックに対して、運転手たちの不満は大きかった。カラニックはあるイベントで、運転手が自動運転車に取って代わられる日も遠くないと発言したこともある。

「運転手と乗客のバランスでいうと、ウーバーでは乗客側に『お得』な要素が多い」と、ウーバーの運転手向けリソースサイト「TheRideshareGuy」を立ち上げたハリー・キャンベルは言う。彼自身もロサンゼルスでウーバーの運転手をしている。「その多くは、よくも悪くも、トラビスのアイデアのようだ。だから多くの運転手は彼を非難している」。

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