欧米利上げで7月株式相場は波乱になるか 日本株は「不景気での株高」の可能性も

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欧米中銀は相次いで利上げへ。「弱い円」は日本株に追い風?(写真:MaCC/PIXTA)

NYダウは「天井圏」での波乱継続へ

先週、欧米の中央銀行がこぞって、利上げをちらつかせはじめた。6月28日、イングランド銀行(英中央銀行)のマーク・カーニー総裁が、ポルトガルで開かれたECB(欧州中央銀行)主催の会議で、利上げを「向こう数カ月以内に討議する」と述べ、ポンド、ユーロが買われた。

一方、マリオ・ドラギECB総裁も「デフレ圧力はリフレに変わった」と発言し、さらにカナダ中銀のスティーブン・ポロズ総裁も「新たな金利決定が近づきつつ」あると7月中の利上げをにおわせた。

この高まる利上げ観測を受けて、同月28日(水)のNYダウは一時売られたが、FRB(米連邦準備制度理事会)のストレステストでの全行合格の報道により、金融株からハイテク株まで幅広く買い戻しが入り、この日は143ドル高となった。

翌29日(木)のダウは前日とほぼ同じ条件にもかかわらず、逆に167ドル安となった。神経質に上下の動きが激しくなったNYダウは7月4日に一時史上最高値を更新したものの、明らかに「天井圏の特徴的様相」を示し始めた。

FRBは、年内1回、来年あと2~3回の利上げの可能性を示唆したにもかかわらず、資産縮小の具体案(国債・住宅担保証券月100億ドル、1年後最大500億ドル)も提示した。景気上昇分を犠牲にしてでも、リーマンショック以降9年目に入った米国経済の高水準を維持しようというFRBの決意の中での、当然の株価反応だ。これについては前回の当欄(記事:「アメリカ株は、『天井を付けた』かもしれない」)で、「ダウは天井圏」として述べた。

では、日本株はどうなるのか。荒れる7月になるのか。米国や欧州と違い、日本はまだデフレ脱却に邁進している時で、「場合によっては世界の資金が、伸びしろの少なくなった米国株から日本へ向かって来ることも十分考えられる」とも前回のコラムで述べた。

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