光のスペシャリスト「ウシオ電機」隠れた実力 プロジェクションマッピング支える名門企業

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映像を遠くに飛ばすには、明るい光が必要だ。明るい光を出すことができれば明暗もはっきりと表現され、鮮明な映像を作り出すことができる。

クリスティが取り扱うプロジェクターは、100メートル以上離れた場所から映像を投影できる。プロジェクターが発する光は2万~3万5000ルーメン(ルーメンは明るさを示す単位)。家庭で一般的に用いられる電球が450ルーメン程度なので、44~78倍ほどの明るさだ。

3万ルーメンもの光を発するクリスティのプロジェクター。4K映像にも対応している(写真:ウシオ電機)

明るい光自体は電力をつぎ込めば生み出すことができる。だが、発する熱も高くなるため、そのままでは周りのガラスやケーブルなどが耐えられない。同時に機械を効率的に冷却するための工夫が必要となる。

そこで、ウシオはプロジェクターに用いられるランプに凹凸の面を作って表面積を増やしたり、熱のもととなる赤外線の一部を逃がすためのフィルターをつけたりするなど、地道な工夫を重ねてきた。

人の目には見えない光まで再現する

光の明るさだけでなく、質にもこだわっている。プロジェクターの光源で主に使用されているのはウシオが開発した「クセノンランプ」だ。

このランプは「小さな太陽」とも呼ばれ、太陽光に限りなく近い波長の光を放ち、紫外線や赤外線も再現されている。実際に太陽光の代わりとしてさまざまな実験に用いられるほどのクオリティが自慢だ。「太陽が発する複雑な色のうち、1色でも欠けたら同じ色にはならない。太陽光を再現するには、紫外線や赤外線など、人の目には見えない光まで再現する必要がある」(ウシオ電機)。

太陽光の再現に力を注ぐ理由は、プロジェクションマッピングにおいて、太陽光を再現することで、人間が最も自然で鮮やかだと感じる色を表現できるからだ。こうした技術の積み重ねによって、ウシオは国内だけでなく世界でも高い評価を獲得し、シェアを広げることができたのだ。

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