安倍自民、大敗で狂う「総裁3選」「20年改憲」 7月に党・内閣改造の前倒しも「両刃の剣」

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永田町では自民惨敗について「THIS IS 敗因」(閣僚経験者)との指摘が大ウケしている。「頭文字をとって、Tは豊田、Hは萩生田、Iは稲田、Sは下村」という解説だ。秘書に信じられないような罵詈雑言を浴びせ、暴行もしたという「魔の2回生」の豊田真由子衆院議員、加計学園問題で「総理の意向」を振りかざして文部科学省を押し切ったとの疑惑を招いた萩生田光一官房副長官、「自衛隊としてご支援を」と弁護士出身らしからぬ失言で火だるまになった稲田朋美防衛相、そして選挙戦の最中に加計学園関係者からの「闇献金疑惑」が週刊誌に報道された下村氏の4人が自民惨敗の"戦犯"というわけだ。

ただ、「4人の疑惑などは確かに票を減らしたが、そもそも"1強"にあぐらをかいた安倍政権の独善的な政局運営への国民の不信、不満が底流にある」(首相経験者)ことは否定しようがない。永田町でも「『THIS IS』のあとに『A』を入れるべきだ」との声も広がる。当然、「A」とは首相を指していることは間違いない。

改造人事は「両刃の剣」、裏目に出ることも

首相は3日午前のインタビューで「安倍政権に緩みがあるのではないかという厳しい批判があったのだろう。政権を奪還したときの初心に立ち返って全力を傾けていく。国政には一時の停滞も許されない。身を引き締め、謙虚に丁寧に、前に進めなければならない」と慎重に一語一語区切りながら反省の弁を述べた。首相はこれに続く自民党臨時役員会でも政権の信頼回復に向け、「今後どういう対応を取ればいいか、それぞれが検討してほしい」と指示した。

一方、同日昼の政府・与党連絡会議では山口那津男公明党代表が「政府・与党が結束し、国民の期待に応えていくべきだ」と発言、それを受けた自公党首会談でも緊密な連携を確認した。都議選では自民党と対立する立場となった公明党も「国政は全く別」(山口代表)との認識を強調した格好だが、自民党内には「都議選惨敗の原因は公明党の裏切り」(都連幹部)との"恨み節"も渦巻いており、「しこり解消にはかなり時間がかかる」(同)ことは間違いない。 

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