SNSの域はもう超えた ライバルはポータル企業−−アンダーソン マイスペース創業者兼社長

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SNSの域はもう超えた ライバルはポータル企業−−アンダーソン マイスペース創業者兼社長

日本でサービス開始から約1年半経ったが調子はどうか。

順調だが、もう少し速いペースで加入者数が伸びてほしい。日本は他国に比べて特に音楽に力を入れている。その分、反応も大きい。ただ、加入者数が限られており日本独自の使われ方が見られない。

米国でも利用者数の伸び悩みが指摘されるが。

調査会社によると、6月は利用者数が伸びなかったが、5月は300万人増えた。利用時間など指標も伸びており、ピークアウトはしていない。一方、利用者を増やすために、昨年9月からサイトのデザインやプロフィール機能などの大型刷新に取りかかっている。年内にも立ち上げる予定だ。たとえば、知人のカテゴリー別にプロフィールを分けられる機能がある。これを使えば友人や職場など見る人によって違うプロフィールを表示できる。従来は友人間でしか使っていなかったSNSも、今後は同僚や家族間でも利用することができる。

SNS業界ではフェースブックやリンクドインなど、競合企業の台頭が目立つ。

リンクドインはビジネス向けのため利用層が異なるが、フェースブックは利用者が完全に重なる。ただ、米国では依然として、マイスペースの利用者数が倍以上だ。彼らが伸び続けるのかもわからず、脅威というほどではない。

広告媒体としての魅力もさほど高くはないだろう。彼らのサイトでは広告は目立たず、カスタム広告も手掛けていない。マイスペースでは、ページ全面広告などニーズに合った広告を出しているが、彼らはそれすらしていない。

マイスペースの広告事業は伸びているのか。

景気低迷が指摘されるが、今四半期は計画以上だ。今やマイスペースの閲覧数は、ヤフーやMSNのような有力ポータル並み。利用者の幅の広さもSNSの域を超え、広告主はむしろポータルとして扱い始めている。SNS市場より総広告費が格段に大きいポータル市場で広告を奪い合える意義は小さくない。

マイクロソフトは、フェースブックに投資するなどSNSに興味があるようだが。

かつてはライバルが買収されると、その会社のいい部分をダメにしてくれるとホッとしたものだ(笑)。最近もAOLが8・5億ドルでSNSを買ったが、そもそも巨額を払うと経営に口を出さずにいられない。大手が小さい会社を買っても簡単にはうまくいかないものだ。その点、親会社のニューズ・コーポレーションは放っておいてくれる。だから、僕らも残っていられるんだ。僕らも相乗効果のありそうなネット企業を見ているが、今の価格水準は高すぎる。しばらくは様子見だ。

(倉沢美左 撮影:今井康一 =週刊東洋経済)

Tom Anderson
カリフォルニア州立大ロサンゼルス校卒。2000年にデータストレージ会社Xdriveに入社。当時セールス統括のデウォルフ氏と出会い、03年に共同でマイスペースを立ち上げた。

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