米国株は、今後一段と上昇する マネックス証券チーフ・ストラテジスト広木隆氏に聞く(上)

拡大
縮小

ここまでの株価上昇は、QE1からQE3を背景にした金融相場でした。ただ、ここからは違います。本格的な業績相場へとシフトしていくのではないでしょうか。製造業だけでなく非製造業の業績も好調に推移しており、実に幅広いセクターで好業績が実現しています。それだけ、民間の活力が高まっているという証拠です。

米国株は割高ではない

もっとも、すべてが好調というわけではありません。トムソン・ロイターが公表した4~6月期におけるセクター別の業績動向のレポートによると、素材セクターとエネルギーセクターは不調でした。言うまでもなく、これらのセクターは、新興国が相手のビジネスだからです。さすがに中国経済の成長率が7%台にまで落ち込む中で、好調を維持するのは難しいということなのでしょう。

――米国の株価が高すぎるということはありませんか?

それも心配無用です。米国の株式市場は200年の歴史を持っていますが、現在の株価水準が過去最高値にあるのは事実です。実際、どの銘柄を買うよりも、NYダウに投資しているのが最も儲かったと言われるように、NYダウは大きく上昇してきました。

それは上がるべくして上がったと言っても良いでしょう。過去100年で見ると、米国株式の平均PERは約14倍です。そして現在の米国株式の平均PERもほぼ14倍前後なのです。要するに、過去100年間の平均値と比べても、現在の株価は決して割高ではないということです。

では、なぜ株価が過去最高値を更新し続けているのに、PERが100年間の平均値で推移しているのかというと、米国企業がきちっと利益を上げ続けているからです。これから米国の経済が復活していくなかで、多くの米国企業がその恩恵に浴し、業績が好調になれば、さらに株価の上値も期待できるでしょう。

(下に続く。下は21日に掲載の予定です)

東洋経済オンライン編集部

ベテランから若手まで個性的な部員がそろう編集部。編集作業が中心だが、もちろん取材もこなします(画像はイメージです)

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT