(第4回)企業が求める人材は「自分で考えて行動できる人」(後編)

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●自分自身の「行動原則」があるかないかで判断できる

 さらに、「自分でものを考えられる力、自律性」を企業はどのように判断しているのかを同じ人事担当者に聞いてみた。
 どうやってその資質を発見するかというと、それは比較的簡単です。その人の中に自分自身の「行動原則」があるかないか。そこを見るのです。
 行動原則のない人というのは、目の前に現れるさまざまなものに手を出す。そして仮に失敗しても、行動に原則がないから何を修正すべきなのかわからない。なので、同じ間違いをまた繰り返します。経験に学ぶことができないので成長しません。
 それに対して行動原則のある人は、たとえ失敗しても、そのたびに経験に学んで原則を修正する。そのため行動原則がどんどん成功できるモデルに高まっていきます。こういう人は必ず成長する。別にその原則は間違っていても構わない。大事なのは自分の行動軸があるかどうか。それに基づいて行動している人ならば、間違いはとてもいい経験になるのです。学生の中にも表面だけみたら成功している人はたくさんいます。例えば体育会で何かの大会で優勝したとか、サークルでイベントを成功させたとか。それは話だけ聞くとすごいことのように見えますが、企業にとって大事なのは、その成功が企業の中で再現できるものであるかどうかです。
 その判断のポイントはやはり行動原則の有無にあります。その人が自分の行動原則に沿って動いた結果、その成功がもたらされたのであれば、企業に入っても同じ成功が再現できる可能性は高いといえます。自分の中に成功を導く「黄金法則」のようなものを持っている人ですね。
 それに対して、成功はしていても、そこに何らかの行動原則が感じられない場合、その成功は偶然か、自分の実力以外の他の要素が原因になっているのではないかと考えるのが自然です。
 人事担当者としては偶然性を排除しないと、人を採用する際のリスクになります。
 その判断ポイントは「自分のルール」を持っているかどうか。「自分のルール」をしっかりと持っていれば、成功の再現性は高いと判断してほぼ間違いないのです。
 「行動原則」、「黄金法律」、「自分のルール」、これこそが「自分でものを考えられる力」の意味であり、企業が求める「仕事人としの即戦力性」に他ならない。
 試験を切り抜けるため、バイト先の売り上げを伸ばすために、どのような戦略で対応したのか。そしてそれらの結果はどうだったのか。自分のやり方は通用したのか。通用しなかったとしたら、その原因は何なのか。人事担当者はそういった点を面接で聞いていく。
 企業が新卒の学生を判断しているポイントは、成功を導く自分独自の戦い方を持っていることなのだ。

●就職活動で成功する人はどんな人か

 就職活動で成功する人は、学生時代に一生懸命に頑張ったことがある人だ。アルバイトやサークルなどの課外活動などで、自分が立てた目標をやり遂げた経験がある人に企業からの内定が集中している。逆に、学生時代に何もせず、何となく過ごしてきた人は苦労している。実際、エントリーシートや面接において聞かれるのは「学生時代に一生懸命頑張ったことは?」という質問が一番多い。

※「大学生のためのインターンシップ成功指南」は、「ジョブウェブ」から提供を受けています。


佐藤孝治(さとう・こうじ)
株式会社ジョブウェブ代表取締役社長
1972年東京都生まれ 早稲田大学社会科学部卒。
就職活動後、大学4年生の96年10月ジョブウェブを創設。 97年7月、アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)に入社。
99年10月、ジョブウェブを法人化。
現在、株式会社ジョブウェブ社長として講演や勉強会などに全国を飛び回っている。学生の就職支援と企業の採用支援を通じて学生と企業の本音コミュニケーションをサポートしている。
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