展望席の伝統「ロマンスカー」はこう進化した 歴代の名車、思い出の車両はどれ?

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3100形NSE(左)と後継車の7000形LSE。NSEは愛称表示器の形が変わった更新後の姿だ(筆者撮影)

NSEは小田急のシンボル的な特急として君臨し、小田急ロマンスカーといえばこの展望電車を表すまでになった。しかし長年にわたって親しまれてきたNSEも2000(平成12)年には使命を終えて廃車になった。

NSEの登場後、1980(昭和55)年に17年ぶりの新型特急として登場したのがLSE(Luxury Super Express)7000形だ。

新宿駅で開かれた7000形LSE登場時の記念式典(筆者撮影)

流線形の前頭部は丸みを帯びた形から直線的なデザインに変更されているが、外観の基本はNSEを踏襲している。これはいかにNSEが優れた電車で、観光客や鉄道ファンに愛されてきたかの証でもあるように思う。LSEは現在も活躍を続けているが、寄る年波には勝てず2018年3月の引退が決まり、Super Expressとして最後の走りを見せている。

ハイデッカータイプも登場

客席の床を高くしたハイデッカー構造の10000形HiSE(筆者撮影)

1987(昭和62)年には、小田急開業60周年を記念してHiSE10000形が運行を開始した。ロマンスカーの前面展望車のコンセプトはそのままに、色はこれまでのロマンスカー色のオレンジ主体から白地に赤のラインに変わった。さらに、客席は床を高くしたいわゆるハイデッカータイプを採用し、車窓の展望はより良くなったが、その反面、バリアフリーへの対応は困難となってしまった。

10000形HiSEの運転台(筆者撮影)

このため、HiSEの小田急線内での活躍は他のロマンスカーと比べ短く、登場から25年の2012(平成24)年3月までに全車両が引退した。一部は2006年に長野電鉄に譲渡され、4両に短縮されてはいるものの、ほぼ小田急時代と変わらない姿で運用されている。

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