AI時代に活躍できる人の「3つのタイプ」 自分の強みと弱みを見直してみよう

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この心と六感すべてをフルに使って人をもてなす「ホスピタリティ」を発揮できる人。こうしたことが得意な人は、「心地よさ」をもたらしてくれます。「人が好き」で「場に安心感」を生み出すこの領域の人々を、場を和ます人という意味で「モデレーター」と名づけました。

人は一足飛びにイノベーターにはなれない

『2020年人工知能時代 僕たちの幸せな働き方』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします) 

最後は<右上>です。この領域では、感性・直感が豊かで、かつ問いを立てるという両方ができることが必要になります。既成概念にとらわれず、自分の感覚や発想で、いままでにない新しい価値観を生み出す仕事。まさに「イノベーター」であるといえます。

彼らの発想は今までの考え方とかけ離れていることが多く、周囲からは「ぶっ飛んでいる」とか「ありえない」という感想を持たれることも少なくありません。

そのために、現状の組織や社会においてあまり評価されていないということもあるでしょう。しかしだからこそ、変化していくこれからの時代において「価値を発揮する」可能性が高いともいえます。

この3つの中では、イノベーターがAIの得意な領域と正反対にあり、最も代替されにくいといえそうです。そのため、「どうやったらイノベーターになれるのか」を求めてしまいがちですが、研修のような能力開発の現場で働いていて思うのは、「人は一足飛びにイノベーターにはなれない」ということです。

人には得意分野があります。「感性・直感」が得意な人もいれば、「問いを立てる」ことが得意な人もいます。そういう意味ではいきなり右上の領域にいこうとするよりも、今の仕事で「より感性的・身体的・直感的になるにはどうすればいいか」と考えるか、もしくは「問いを立てるにはどうすればいいか」を考えていくことが、実践的かつ現実的といえるでしょう。

このように、今の自分たちの仕事をこの3つの領域にどう進化させていくかを考えることが、「人工知能時代の幸せな働き方」を生み出すヒントになるでしょう。

皆さんがご自分の仕事に照らし合わせ、どのように進化していくことがこれからの時代に必要なのかということを考える、ひとつのきっかけとなれば幸いです。

(構成:山岸美夕紀)

藤野 貴教 働きごこち研究所 代表取締役、ワークスタイルクリエイター

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ふじの たかのり / Takanori Fujino

組織開発・人材育成コンサルタント。グロービス経営大学院MBA(成績優秀修了者)。人工知能学会会員。外資系コンサルティング会社、人事コンサルティング会社を経て、東証マザーズ上場のIT企業において、人事採用・組織活性化・新規事業開発・営業マネジャーを経験。2007年、株式会社働きごこち研究所を設立。「ニュートラルメソッド」を基に、「働くって楽しい!」と感じられる働きごこちのよい組織づくりの支援を実践中。2015年から現在の研究テーマは「人工知能の進化と働き方の変化」。研修やセミナーの受講者はのべ1万人を超える。2006年、27歳のときに東京を「卒業」。愛知県の田舎(西尾市幡豆町ハズフォルニア)で子育て中。家から海まで歩いて5分。職場までは1時間半。趣味はスタンディングアップパドル(SUP)と田んぼ。本書は、著者が「働き方」の専門家として、人工知能が進化する中で、いかに人間として幸せに働き、生きるかというヒントを提案した希望の書である。

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