秋の市場の波乱に備えた「日米密約説」とは? 米国の出口戦略は、チャイナリスクの行方次第

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目先円高が続くなら、ドルを買うチャンス

中野 金融市場に関していえば、為替がどうなるか。米国の実体経済が良くなれば、確実にドル高が進むと見ているのですが。

藤野 もともと昨年の秋口から円安ドル高へと転じたのは、米国に景気回復の兆しが見えてきたからですしね。アベノミクスが円安を促したのではなく、もともと円安になる素地ができていた。安倍首相はそこにうまく乗った形になったわけです。このまま米国の景気が回復に向かえば、為替はもう一段、円安になるでしょう。

中野 1ドル=110円近辺が居心地の良い水準。そこまでは自然に行くのではないでしょうか。現状、円高に向かう材料はないといっても良い。

渋澤 その割にはなかなか円安に行かないけどね。まあ、円高になったら米ドルを買うチャンスだと見ています。

コツコツ投資を説く「草食投資隊」の地道な活動が、いま実り始めている(セゾン投信社長中野晴啓さん(左)、レオス・キャピタルワークスCIO藤野英人さん(中)、コモンズ投信会長渋澤健さん(右)

中野 そうなんですよ。今、円高が進む理由が分からない。8月に入ってマーケットが薄くなっていることもあると思うのですが、いきなり1ドル=96円台に入ったりしている。今、円を買う理由なんて、どこにもないですよね。

藤野 結局、夏休みで外国人投資家の参戦も少なく、マーケットが品薄だから、先物などに振らされて変な動きをしているだけなんだと思いますけどね。それにしても、外国人投資家がいないから品薄で、マーケットがかく乱されるって言いますけど、これって変な話ですよね。

もっと日本人が買えばいいじゃん、って僕なんかは思うんですけど。外国人投資家に依存した日本のマーケットって、情けないじゃないですか。もっと日本人が自国のマーケットで取引をして、分厚い市場にしていけば、いちいち外国人投資家の動向に一喜一憂することもなくなります。

中野 本当にその通りだと思います。

渋澤 草食投資隊の地道な活動が、いつか日の目を見る時が来るさ。今夜も、その活動の一環でバーベキュー(笑)。大勢の投資家さんが集まるんでしょ。なんか夏休みっぽいよね。

藤野 そう。今夜だけは肉食投資隊ということで(笑)。

草食投資隊 渋澤 健、中野晴啓、藤野英人

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そうしょくとうしたい

コモンズ投信会長・渋澤 健、セゾン投信社長・中野晴啓、レオス・キャピタルワークス社長CIOの藤野英人の3氏で結成。根底には、「長期投資を根づかせたい」という3人の熱い思いがある。「草食投資隊」という名前は、投資=肉食系というイメージが一見つきまとうが、本質は違うのではないか、という3人の共通の考えによる。

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