秋の市場の波乱に備えた「日米密約説」とは? 米国の出口戦略は、チャイナリスクの行方次第

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藤野 「いい塩梅の悪さ」といっても良いのではないでしょうか。たとえば雇用統計の非農業者部門雇用者数も、恐らく20万人の増加になると出口の話が浮上してくるのだけれども、今の水準はそこまでではない。16万人、17万人というように、絶好調に少し足りないくらいのところでウロウロしている。だから、QEを止めるとはっきり言わずに済むし、そのなかで景気はジワジワと上昇しているという感じを受けます。

辞めるから、思い切ったことができる?

中野  でも、バーナンキさんとしては、来年1月にFRB議長を降りる前に、何とか蛇口を絞りたいところでしょうね。

渋澤 最後の最後に蛇口を絞って、さっと消える(笑)。辞める直前だからこそ、蛇口も絞りやすいんじゃないのかな。

中野 もしそうだとしたら、年末にかけてボラティリティは高くなりそうですね。でも、いきなりギューッと絞るようなことはしないでしょう。850億ドルの資金供給を600億ドル、あるいは500億ドル程度まで絞るけれども、引き続き金融緩和は継続するという感じじゃないでしょうか。

藤野状況次第でしょうね、出口戦略については。今、世界経済で一番懸念されているのは、やはりチャイナリスクでしょう。その行方次第で、出口戦略の行方が大きく変わってくると思います。

中国経済がさらに厳しい状況に追い込まれると、中国向けに鉄鉱石などを輸出しているブラジル経済がダメになる。そうなると、ブラジル国債を大量に保有しているスペインが苦境に追い込まれ、結果的に欧州債務問題が再燃する。そのリスクについては、IMFもEUも、バーナンキも知っている。そこまでの大問題にならなければ、少しずつ出口戦略に向かうシナリオも描けますが、その懸念が現実化したら、マーケットはクラッシュします。だから、隠し玉が用意されている。

黒田バズーカ砲の第2弾の可能性

中野 それってなに?

藤野 黒田バズーカ第2弾ですよ。出口戦略が遠ざかるのはもちろんですが、これに黒田バズーカの第2弾を放つわけです。そこまでのセーフティネットはできあがっている。米国としては、黒田バズーカ第2弾に期待しているので、その代わりに1ドル=100円程度の円安には目をつぶる。そういう話し合いは出来ているはずです。

中野 債務上限の引き上げに関する問題が秋口に出てくると思いますが、その辺について、来日した議会スタッフの人たちは、何か言ってましたか。

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