ザ・ペニンシュラが開業 上陸続く外資ホテル 共栄か、全面戦争か

ザ・ペニンシュラが開業 上陸続く外資ホテル 共栄か、全面戦争か

外資系高級ホテルの進出が続いている。当初の懸念とは裏腹に開業ラッシュは既存の国内勢をも活性化させた。が、数年後には本当の実力が試されることになりそうだ。(『週刊東洋経済』9月15日号より)

 9月1日、東京・日比谷に「ザ・ペニンシュラ東京」が開業した。香港を拠点に、アジアや北米7都市に展開するラグジュアリーホテルの日本初進出だ。客室数は314室と小規模ながら、標準的なタイプの「デラックスルーム」で料金は約7万5000円、都内最大の広さを持つ「ザ・ペニンシュラスイート」は98万円だ。ほかに、二つの宴会場と六つの会議室、五つの料飲施設を備える総合型ホテルである。

 2005年の「コンラッド東京」(ヒルトングループの最高級ホテル)以来、日本初お目見えとなる外資系高級ホテルの開業が東京では続いている。いずれも標準的な客室料金は6万~7万円台と高額。宿泊客のターゲットは海外ビジネス客と首都圏を訪れるレジャー客である。

 東京進出を狙う世界の有力ホテルチェーンはまだある。米スターウッドホテル&リゾートは3年後に大阪市内で最高級ホテル「セントレジスホテル大阪」を開業するが、当初はコンラッド東京が入る場所にセントレジスの開業をもくろんでいた。が、条件が折り合わず実現に至らなかった経緯がある。アジア太平洋地域統括社長のミゲル・コー氏も「次は東京にベストな立地を見つけることが、スターウッドの使命」と鼻息が荒い。

 東京ではこれまで、標準的料金が5万円を超えるラグジュアリーホテルといえば、1994年に開業した「パークハイアット東京」などに限られていた。そのため、世界の有力ホテルチェーンの目が未開の地・東京に向かったのは当然の動きだった。そこに、都心再開発を進めるデベロッパーの誘致が重なり、今日の開業ラッシュに至ったのである。

 外資系ホテルの一斉開業が明らかになり始めた03年ごろから、東京のホテル業界では「2007年問題」が叫ばれた。新勢力によって東京にもたらされる客室増加数は約1600にも上る。供給過剰から稼働率の低下が懸念され、既存ホテルは新勢力を迎え撃つべく対抗策を打ち始めた。折しも当時は、都内ホテルの稼働率が前年を割り続けていた冬の時代。国内ホテルチェーンは、こぞって大規模改装を計画。客室設備を充実させたり、料飲施設を入れ替えたりと、活性化に躍起となった。

 ところが、ふたを開けてみると、供給過剰に対する懸念とは正反対の結果が表れた。いずれのホテルも開業初年度から高稼働を維持。迎え撃った既存ホテルの稼働率も、むしろ当時より改善したのである。「外資系ラグジュアリーホテルの進出によって、まったく新しい市場が創出された」(マンダリンオリエンタル東京)と見る関係者は多い。たとえば、東京の在住者が優雅なひとときを過ごすため宿泊するようなケースが、最近は増えているという。

 既存ホテルまでもが活性化されたのは、施設改善が功を奏しただけではなさそうだ。マネジメントに対する考え方の変化も大きな要素だ。

 国内大手ホテルは、1000室以上もの客室を抱えているため、長らく稼働率向上がマネジメントの最優先課題とされた。一方で、インターネット予約の普及に伴い、客室単価は低下の一途をたどった。ある営業マンに言わせれば「今日空いている部屋は安くても売ると必死になっていた」のだ。ところが、外資系ホテルの認識は違う。稼働率よりも平均客室単価(客室総売り上げを販売室数で割ったもの)に重きを置く。外資系進出によって、単価重視のマネジメント手法が、国内ホテルにも浸透し、客室単価は上昇に転じた。

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