「超人材不足」時代到来が働き方を激変させる 改革に追いつけない企業は淘汰される運命だ

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一方で、今後は働く側の労働者としても意識を変える必要があります。「寿退社」という言葉は死語になっていますが、出産・育児や介護問題となると、キャリアをあきらめる方が多くなってくるのも事実です(会社から退職を勧めるとマタハラですが、自主的にそう考えてしまう労働者の方が多いのも事実です)。

しかし、今後は、子供がいて育児に集中する「時期」があったとしても、生涯のキャリアをあきらめるべきではありません。また、介護に集中すべき時期もあるでしょう。しかし、介護休業中には周りの手を借りながら、仕事と両立させる体制を整えるべきです。そのうえで、ライフステージやプライベートの事情が決まったら、また本格的には働くことが一般的になっていくと思います。

ライフステージの変化に合わせた働き方

働き方改革の本質、それは、生活の中に「働く」をどこに位置づけるかという問題です。これは20代、30代、子育て期、子供が一人前になった時期、高年齢者など、ライフステージによって異なるのは当然のことです。その時々に応じて、適切な働き方を選択すること。働き方改革とは、生き方改革なのです。

LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』(東洋経済新報社)という書籍が10万部を超えるベストセラーになっています。昭和の時代は、人生のステージは大きく3つに分けられていました。教育のステージ、仕事のステージ、引退のステージの3つです。しかし、今後は超長寿社会を前提に、「人生100年時代」であることを見据えて、自らの生き方を考える必要があります。

そうすると、人生の中で「働く」に集中する時期、家庭とのバランスを考える時期、再び「働く」時期など、そのステージは個人のライフスタイルによって多様化してきます。この点を理解せず、いつまでも変わらない価値観を持っているような会社に入ることは労働者としてもマイナスです。もし入社した企業が自らのライフステージの変化に合わせた働き方を許容してくれないのであれば、転職も検討すべきでしょうし、今後そのような企業は淘汰されていく流れになるでしょう。個人の価値観に合った働き方を一人ひとりが考え、それに対して企業も応えていく。それが本当の意味での「働き方改革」なのだと筆者は考えます。

倉重 公太朗 倉重・近衛・森田法律事務所 代表弁護士

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くらしげ こうたろう / Kotaro Kurashige

慶應義塾大学経済学部卒。第一東京弁護士会労働法制委員会 外国法部会副部会長。日本人材マネジメント協会(JSHRM)執行役員。日本CSR普及協会雇用労働専門委員。労働審判・仮処分・労働訴訟の係争案件対応、団体交渉(組合・労働委員会対応)、労災対応(行政・被災者対応)を得意分野とする。企業内セミナー、経営者向けセミナー、社会保険労務士向けセミナーを多数開催。著作は20冊を超えるが、代表作は『企業労働法実務入門』(日本リーダーズ協会 編集代表)、『なぜ景気が回復しても給料は上がらないのか(労働調査会 著者代表)。

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