カルビー、株主の関心はポテチではなかった 「フルグラ」で中国市場にリベンジ

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カルビーではシリアル「フルグラ」を初めとした朝食事業を、スナック菓子事業に次ぐ第2の柱に位置づけている(記者撮影)

全国を襲った「ポテチショック」から早2カ月。国内スナック菓子最大手のカルビーは、6月19日から北日本・東日本エリアで「ピザポテト」の販売を再開した(中日本・西日本エリアでは26日から)。

原料不足が表面化し始めた2016年度の終盤からは業績にも影響が出た。カルビーは今年2月、2011年の上場来初めて業績を下方修正。海外での売り上げ不振が主な原因だが、国内事業でも売上高を47億円減額した。すべてのポテチ製品の販売正常化は、9月までかかる見通しだ。

ポテチに関する質問は1問だけ

そんなポテチショックの渦中にあるカルビーの株主総会が6月21日、東京・港区のANAインターコンチネンタルホテル東京で開催された。強い雨が降りしきる中だったが、914人もの株主が集まるなど注目度の高さがうかがえる(昨年は687人)。

総会に出席した株主に取材したところ、「原料調達に際してどのような危機管理をしていくのか」と、株主からやはりジャガイモ不足についての質問が出たという。伊藤秀二社長は「付き合いのなかった生産者と新しい取り組みを始め、産地を分散させることで対応している」と対策を述べた。

主力商品の売り上げを左右するジャガイモ不足。だが意外にも、それ以上は質問に上ることはなかった。逆に株主の関心が高かったのは海外事業の成長性だ。

ある株主は「フルグラの中国展開はポテンシャルがあると聞いており、非常に期待している。販売ルートなどについて具体的な説明でわれわれを安心させてほしい」と要望した。

松本晃会長は、「中国のシリアル市場は日本を大幅に上回っている。日本は600億円くらいだが、中国では1200億円あり、いまも成長が続いている」と潜在市場の大きさを強調した。

次ページ2割の製品が中国に流れている
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