パワハラ議員の罵声に失笑すら起きない理由 ウソが蔓延する政界にまたもや大ニュース

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といって、まだ安倍首相を支持する政治家や経済人や一般国民も人もゴマンといるわけです。彼らが「いまの厳しい状況を乗り切るにはかなりのゴマカシも必要だ」とか「安倍政権を維持するには大量のウソも必要だ」と言うのなら、「許してやれる」のですが、絶対にそうは言わない。そして、現内閣あるいは自民党は、どこまでも「法に従って真摯に対応している」とウソを主張するのですから、怒る気力さえ、笑う気力さえなくなってしまいます。

今回の事件で、安倍さんは「信頼」という政治家にとっての一番の宝をかなぐり捨てたことになり、その点からすると、うまく立ち回っているようで、相当愚かな選択をしたように思います。

というのも、こうしたウソの大合唱の中で、救われることが1つだけあったから。それは、正確な天気予報のように、内閣支持率の急落という現象が生じたこと、さらに、(都議会選挙直前にして)自民党支持率も激減しそうになってきたこと。「わが国民」もそれほどバカではないわけで、総理大臣に対して、とにかく「お前の言葉は信用できない」という石をぶつけたわけです。こうしたわかりやすい力学は、まるで議会制民主主義のお手本をお勉強しているようで、民主主義もまるっきり偽善的な面ばかりではないという印象を与えてくれました。

今回は、テーマが分散しますが、いじめでわが子が自殺したことをどんなに訴えても、「いじめはなかった」としらを切り続けたのに、文科省の指導が入ったとたん、いじめを認めた取手市の教育委員会の面々も、ウソの達人。被害者宅に赴き、表面上謝ってはいるのですが、まったく言葉に誠意がなく、「形だけ主義」の権化であり、「深く反省し」と言いながら、その表情には反省した形跡の片鱗もない。迎えたご両親はとても上品な人で、父親が「では、なぜいままで認めなかったのですか!」と強く抗議しても、まさにカエルの面にションベンといった顔をしている。これでいいと思っているのでしょうか、理解に苦しみます。(それほど上品ではない)私だったら、殺さないまでも、いや、刺さないまでも、台所からバケツ一杯の水をもってきて、頭からぶっかけてやるでしょう。

新たに出てきた「パワハラ」議員の問題

というわけで、あまりにもウソがはびこっているので、しかもそれが互いに怖ろしく似ているので、これ以上政治家・官僚・官庁職員のウソ問題に切り込む気力さえなくなって、さてどうしようと思案していた矢先、またまたビッグニュースが入ってきました。

それは、豊田真由子議員(自民党)が男性秘書に対して暴行、暴言の限りを尽くした実録が公開されたこと。その実録によると、彼女は、車を運転している秘書に対して、「バカ!ハゲ!死ね!」とヒステリックに叫び続け、あいだにボコボコ叩く音も聞こえる。何でも、彼が支持者に出すはずの誕生日カードの住所を間違えた(よって、届かなかった?)ということらしい。録音の中では、「お前はどれだけ私の心を叩いている? 私の評判をどうしてくれる!」と怒鳴っているのが、とりわけおかしかった。このパワハラの全国公開により、彼女の議員生命もすでにオワリかもしれないのに。

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