ぐっちーさん「築地に最先端の木造建築物を」 豊洲の維持費用は年21億円で済むわけがない

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「築地を守る」のは正しい選択。問題はそこから。ぐっちーさんが、築地を「世界最先端の場所」にする大胆なプランを示す(撮影:尾形文繁)

小池百合子・東京都知事が、「豊洲移転問題」について6月20日、「豊洲移転、築地再開発」の「同時並行プラン」を発表しました。結論的にはまさに「アウフヘーベン」(矛盾する二つの命題を統合して解決を導くこと)!

豊洲移転問題を純粋にビジネス面からみたら?

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メディアによっては、市場機能をすべて豊洲に移転するがごとく記事にしているものも散見されました。

しかし、都知事のアイデアはあくまでも豊洲は冷凍・冷蔵など大型加工機能に特化させ、それ以外の部分(従来通りのせりなど)は築地再開発後に引き続き築地が受け持つ、という「両者継続」のアイデアです。そのうえで、築地については今ある築地ブランドを中核にして、「食のテーマパークのような活用の仕方をしたい」、というのが骨子です。

もっとも、日本経済新聞などは「豊洲・築地二兎追う開発」、と否定的にも見える報道をしていましたね。

豊洲移転問題については、すでに6月9日に出た記事「ぐっちーさん『豊洲移転など、ありえない』」のとおりです。細かい話については、この記事に登場してくださった竹内昌義さん(市場問題プロジェクトチームのメンバー、東北芸術工科大学教授)と再度対談をしてお話したいと思いますが、まずは「とりあえずのコメント」だけしておきたいと思います。ですから、今回は「都知事の決定にかかわるプロセスが不透明だ」、とか「その他の政治的手法」などに関しては、一切言及しません。純粋に金融・ビジネス(経営)の立場から見た意見であるということに御留意ください。

「そもそも論」で、築地の機能をそのまま豊洲に移しても赤字になることは目に見えていたわけですから(前出の「竹内対談」にはかなりの反論を頂きましたが、これについての大きな反論は出ませんでした)、都知事の基本方針が、一つのソリューションになり得るとは言えるでしょう。

都の統計にあるように、1990(平成2)年から2016(平成28)年までに水産物取扱高はすでにほぼ半減しています。これから大幅な高齢化を迎える情勢で、水産物の取扱高のみが増加するなどあり得ない話であって、全く別のソリューションを持ち込まない限り、豊洲の赤字は拡大する一方でありました。

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