サッカー界「暴言問題」の背景にある"病根"

人を敬える選手は育成できているか?

“大人にリスペクトされない子ども”が成人したとき、相手を敬いフェアプレーができる“紳士”になれるだろうか?

フェアプレーの精神を重んじるはずのサッカー

英国で「紳士のスポーツ」として生まれ、フェアプレーの精神を重んじるはずのサッカーだが、ここ最近、日本では問題が目立つ。

6月9日、埼玉県武蔵越生高校サッカー部の外部指導員が、部員の顔に平手打ちしたり、胸を小突く様子が撮影された体罰動画がSNSにアップされたことで、以前から指導の際に暴力があったことが発覚。解雇されたこの指導員は元プロ選手だった。

また、J2では4月30日に徳島ヴォルティスの馬渡和彰選手がボールパーソンを務めていた中学生を「すぐにボールをよこさなかった」として小突いて退場に。その試合では徳島サポーターがボールパーソンにアルコールと思われる液体をかける行為も起きた。

J1では5月4日の浦和レッズ対鹿島アントラーズで、浦和の森脇良太選手の侮蔑発言問題が起きた。同選手が鹿島のレオ・シルバ選手に試合中、「くせえんだよ」と人種差別とも受け取れる発言をしたと、同クラブの小笠原満男選手が主張。Jリーグが規律委員会を開き聴取した結果、森脇選手は2試合の出場停止処分を受けた。

このことについてネットでは「試合中はヒートアップしているのだから仕方ない」「心は熱くても、頭は冷静にプレーしてほしい」というコメントが出ていたが、それでは済まされないと感じる。これらは各選手の個人的な問題ではなく、彼らを育てた大人に原因があるのではないか。

小中高といったサッカーの育成現場を歩くと、試合中に選手に対し罵声を浴びせる指導者に遭遇する。それらの暴言は「おまえ、バカか」「下手くそ」「頭、空っぽ」など耳をふさぎたくなるものもある。

コーチは選手の奮起を促そうとしてつい熱くなるだけなのかもしれない。だが、“大人にリスペクトされない子ども”が成人したとき、相手を敬いフェアプレーができる“紳士”になれるだろうか?

ジェフユナイテッド市原千葉育成普及部コーチや京都サンガ普及部部長などを歴任し、先頃、『伸ばしたいなら離れなさい サッカーで考える子どもに育てる11の魔法』を上梓した池上正さん(I.K.O市原アカデミー理事長)は、中学校の大会でこんな光景を見掛けた。

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