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Galaxy、V字回復への勝算 最新機種は歴代最高のスタートダッシュに成功

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グローバル商品企画グループ
ヤン・ヒョンヨン

一方で、同社はこの事故の反省を踏まえ、通常より大幅に厳しいバッテリー検査を実施していくと発表。X線検査を含めた8段階の試験を行い、安全性には万全を期す構えだ。サムスン電子グローバル商品企画グループのヤン・ヒョンヨン氏によると、S8、S8+も「(Note7 の)問題を分析したうえで、設計面で同じことが起きないようにしている」と語りながら、「安全に使っていただける」と自信を見せる。

世界中の消費者も、この対応に納得したのだろう。Note7 を手にできなかった消費者の期待感もあって、S8、S8+は、歴代最高のスタートダッシュを切った。出荷台数はわずか3週間で1000万台を突破。おひざ元である韓国はもちろん、Galaxy人気の高かった欧米やアジアでも順調な出足だという。

Galaxy S8
  • カラー:オーキッドグレー、ミッドナイトブラック、コーラルブルー(S8+はミッドナイトブラック、アークティックシルバー)
  • ディスプレー:約5.8インチ(S8+は約6.2インチ)
  • サイズ:約149×約68×約8.0(S8+は約160×約73×約8.1)
  • メインカメラ:約1220万画素 最大F値:1.7

今後の業界標準となる縦長ディスプレー搭載

では、S8、S8+の魅力はどこにあるのか。

グローバル商品企画グループ
チェ・スンミン

1つは、先に挙げたディスプレーだ。通常のスマホはテレビと同じ16対9が一般的だが、S8、S8+は18.5対9とより縦が長い。比率を変えたのは、「ブラウザやSNS、メッセンジャーなど、スマホはリストビュー(縦表示)型のアプリが多い」(グローバル商品企画グループのチェ・スンミン氏)ためだ。縦に長くなれば、そのぶん画面に収まる情報量も増え、一覧性がアップする。ハリウッド映画をはじめとして、21対9のコンテンツが増えているのも、18.5対9のディスプレーを採用したもう1つの理由だ。「18.5対9は、テレビなどの16対9と、映画の21対9を両立できる比率。映画などのコンテンツが、より見やすくなる」(チェ氏)。

実は、同時期にはライバルメーカーも2対1のディスプレーを搭載したスマホを発表し、縦長ディスプレーは、今後業界標準になっていくと考えられている。この流れに、サムスンがいち早く乗れたのはなぜか。答えは、サムスン電子が総合家電メーカーであり、部材まで自前で生産しているところにある。ディスプレーの開発は、企画側から要求を出し「比率を定め、(グループ内の)ベンダーに発注して作り上げた」(チェ氏)という。サムスンは、今後、このディスプレーがスマホ業界のトレンドとなると見ており、「他のメーカーも追随してくる」(チェ氏)と予想する。

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