米国で流行「段ボールベビーベッド」は安全か フィンランド式子育ての幻想?

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さまざまな製品の規格策定を行うASTMインターナショナルは、ベビーボックスの安全規格を提言するための作業部会を設置。ただ、規格が策定されてCPSCに採用されるまでには、少なくとも1年がかかるとみられる。

「一般的に育児用品は厳しく規制されている」と、CPSC会長代理のアン・マリー・ブエクルは言う。「われわれが決断を下すまでは、たくさんの警告にさらされる」。

ブエクルはベビーボックスについて、わかっていないことが数多くあると指摘する。「箱は何でできているのか? どれほど耐久性があるのか? 3人の赤ちゃんに続けて使ったら劣化するのか?」とブエクルは問う。「これらのことは、規格策定機関で判断される」。

米国で配布されているベビーボックスの大半を製造しているベビーボックス社は、自社製品の安全性は独立したラボで自主的に検査を行っており、ボックスはバシネットと同程度の安全基準を満たしていると主張している。

同社の共同創業者で最高経営責任者(CEO)のジェニファー・クラリーは、同社の無料プログラムの1つに参加する親たちは、安全な睡眠や育児、栄養などについてのオンラインの教育コースを受けるよう求められていると言う。しかし教育コースを受けなくても、ベビー用品の詰まったベビーボックスは直接ネットで69.99~225ドルで購入することが可能だ。

ベビーボックスの中には、乳児に必要なベビー服や肌着などが入っている (写真:Ilvy Njiokiktjien/The New York Times)

フィンランド式育児への幻想

これに対しムーンは、安全基準は製品を造っている企業ではなく、公平な専門家によって策定される必要があると指摘する。ボックス自体にまだ多くの疑問が残されているとムーンは言う。

たとえば、米国で製造されているボックスの年齢制限や重量制限、赤ちゃんが中にいる状態でボックスを持ち上げても安全なのか、赤ちゃんが入っているボックスを床などに置いても問題ないのかといったことだ。

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