自立のためには、「ママ友」との関係も重要だ 写真家・植本一子さんに聞く「仕事と人生」

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――仕事については、以前から“食い扶持”や“手に職”と表現をされていますね。

昔からです。とにかく家から出たい一心で、仕事というか手に職だけはつけようと思って生きてきましたね。

お母さんは事務をやってたんですけど、私が小学校低学年ぐらいのときに会社がつぶれて専業主婦になって。ずっと家にいるんだけどおばあちゃんと折り合いが悪かったから、手に職って言われ続けましたね。「結婚なんかしなくていい」って言われてたし。

――『かなわない』では、妊娠を伝えたときのお母さんの「裏切ったわね」という言葉がありました。

とっさに出たんでしょうね。何だったんだろうな、お母さんに聞けないからわかんないけど、私に幸せになってほしいとかじゃなかったと思う。

自分が幸せじゃないから、子どもの幸せを思える人じゃなかったと思うし。複雑だったと思いますね、私が楽しく生活してるのとか。難しいですね。

(c)植本一子

シャッターを閉じないのは大事だった

――地元を出て写真家として働くことも、人間関係がないと続かないと思います。現実的には、孤独を感じている人も多い。ひとりでいられるために大切なことは何だと思いますか。

あのね……

まずは近所のママ友だと思います。

最近、やっぱりそこなんだなあって思っちゃって。

――え? ママ友、ですか。

私、娘の保育園が一緒だったお母さんの名前、結局覚えられなかったんです。クラスの子どもの名前も覚えられなくて。それが結構、傲慢だったというか。自分からシャッターを完全に閉めてたというか。

もちろん人を選ぶのは大事だと思うんですけど、趣味が合わなそうでも気の合う人はいるから。難しいんですけど、シャッターを閉じないのは大事だったんじゃないかなって、今さらながらに思いますね。

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