アマゾン「ホールフーズ買収」の重大な意味 ウォルマートに真っ向勝負

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ジェット・ドット・コム創設者で現在はウォルマートの電子商取引部門を率いているマーク・ロア氏はロイターのインタビューで、アマゾンのホールフーズ買収でウォルマートの方針が変わることはないと強調し、「われわれは攻勢を続ける」と宣言した。

ただかつてウォルマートでグローバル食品調達を監督していたオークトン・アドバイザリー・グループのロジャー・デービッドソン社長は、アマゾンのホールフーズ買収でウォルマートの実店舗事業における優位が弱まったと指摘。「この買収は気掛かりな材料だ」と述べた。

アマゾンがウォルマートの客を奪うのは難しい?

一部の業界専門家はホールフーズとウォルマートの顧客層の違いを理由に挙げて、アマゾンがウォルマートの客を奪うのは難しいとみている。それでも市場調査会社ユーロモニターの小売り部門責任者ミッシェル・グラント氏は、ホールフーズの提供商品では目立たない存在である「ホールフーズ365」を活用できるとの見方を示した。

ホールフーズ365はプライベートブランド(PB)で、他の商品よりも販売価格が安く、標的としているのは年齢が若くて価格を重視する買い手だ。アマゾンがこのPBに資金を投じるなどのてこ入れをして大きく育てれば、ウォルマートにとって大問題になるかもしれない、とグラント氏は話す。

アマゾンはホールフーズを使って未来の食品小売店の在り方を試すと予想するのは、アマゾンで実店舗戦略に携わっていたブリテン・ラッド氏だ。具体的には買い物客がカートに商品を入れた段階で自動スキャンする技術を使い、レジを廃止するのではないかという。

さらにラッド氏は「アマゾンは価格を引き下げ、ホールフーズの品ぞろえを変えて顧客層を拡大しようとする。(スーパー大手)クローガーやウォルマートはその影響を受け、顧客がアマゾンに流出する」と述べた。

(Nandita Bose、Jeffrey Dastin記者)

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