創業会長が介助犬の育成に乗り出したワケ 天皇・皇后のご視察で人生観が変わった

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「プロに相談すると、その人のレベルで無理と言われることが多いのです。自分でやるしかありません。そんな私に力をくれたのは本でした」

もともと本好きだった柳本さん、小学校の頃から、向かいにあった中学校の図書館に行って難しい本を読んでいたそうです。もし裕福な家庭に生まれていたら、有名大学を出てもっと活躍されていたかもしれません。いやいや、逆に豊かな環境では遊びすぎてしまい、せっかくの才能を活かし切れなかった可能性もあります。そこが人生の面白いところです。

「学歴はないけど学力はある」

素人なので限界を知りません。専門書を読んで、必死に勉強します。「学生が1年かけて学ぶところを、私は独学で3カ月でマスターします」と言われます。恵まれた学生とは必死さが違います。

「私自身、学歴はないけど学力はあると思っています。学びたい、という意思があれば前進できます。あと思い込みも大事です。さらに気合です」

この会社の技術は、私たちの身近にある品物に使われています。商品のパッケージなどの形状をCADシステムで作り、大量生産するための打ち抜き用刃型をレーザーや水でカットして製作するのです。小ロット対応のサンプル加工機の使用範囲は広く、肌着の型紙から飛行機の炭素繊維までカットします。

柔らかいもの、熱を当ててはいけないものをウォータージェットでカットする

しかし、レーザーはわかりますが、水でカットとは? けげんな顔をしていたら、会長が説明してくれました。

「水滴でも同じところに3年当てれば穴が空きます。うちは0.3mmの穴から、1平方センチ当たり3トンというものすごい圧力で水を噴射します。柔らかいもの、熱を当ててはいけないものをウォータージェットでカットするのです。たとえばスポンジなどは水で切ります」

切る、抜くという、もともと手作業でやっていたことをロボットで切らせる、そういった製造機械を作っています。手間のかかる仕事を一つひとつ自動化することで新規事業になりました。

柳本会長は、会社をしながら守ってきた鉄則があると言います。3つの“ない”です。

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