スバルの懐刀「アイサイト」は競争に勝てるか ぶつからないクルマが、また一歩進化した

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6月15日、記者は茨城県にあるテストコースで新たなアイサイトを体験した。新型レヴォーグの運転席に乗り込み、ハンドルのボタンで先述した2つの機能をオンにする。つまみボタンで最大速度を設定すれば準備完了だ。

自動走行の設定はハンドルにあるボタンで行う(記者撮影)

前の車が走り出す。もう一度つまみボタンを押すと、その後を追うように発進した。ただしハンドルをしっかり握らないと、「ハンドルを握ってください」と警告される。ハンドルから手を離してしまうと、画面表示と音による警告の後、20秒で自動走行機能が解除される。

しばらくすると前の車が速度を時速30キロに緩め、渋滞時のようにノロノロとした運転になった。蛇行すると、それに合わせて自分の車のハンドルも動く。車が止まると、ブレーキランプを認識し完全に停止した。停車が3秒以内なら、再び自動で走り出せる。気持ちにゆとりのある運転で、渋滞のストレスは軽減されそうだ。

今後は眠気を検知する機能にも可能性

緊張感がなくなり、眠気が襲うことはないのだろうか。第一技術本部車両研究実験第四部の久保貴嗣氏は、「時速10キロ以下でハンドルを離せる仕様にすることも法律的には可能だが、ドライバーを寝かせないため解除機能をつけた。今後必要に応じて、眠気や疲れを検知する機能をつける可能性もある」と説明する。

高速になったときのアイサイトの性能はどうか。速度を時速100キロに上げてみた。直線走行はスムーズだが、左カーブを曲がると遠心力で車両は中央線に寄り、対向車線にはみ出しそうになった。

さらに急なカーブでは曲がりきれないとシステムが判断し、自動走行が解除された。切り替えのスピードが速く焦りを感じる。ドライバーは咄嗟の事態に備え、つねに自分で運転している感覚を持つことが求められる。

28年の時間をかけ開発されたアイサイトには、安全が何よりも重視される航空機メーカーを源流とするスバルのこだわりが表れている。最初に自動ブレーキ備えて発表されたのが2008年、続いて2010年に発表した第2世代がヒット。アイサイトはブランドの代名詞的存在となった。

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