米国メディアは、ベゾスの買収をどう見たか? ワシントン・ポスト買収から始まる"メディア変革"

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長期のメディア変革が始まる

ワシントン・ポストのオーナーが変わることで、性急な変化がメディア業界に起きるわけではない。しかしこうした米国の一連のメディア変革の動きには注目しておく必要がある。ウェブをいかに活用するか、というアプローチで考えている米国に比べ、特に日本では、マスメディアVSネットメディアという構図が浮かび上がる。  

例えば、オバマ大統領がキンドルシングルのインタビューに応えるように、ニコニコ動画が首相の記者会見を全編ノーカットで放送し、質問をする場面までリアルタイムで配信している。テレビが、数秒を切り取って失言を演出しようとしても、それが意図的な解釈であることが明らかになる環境が整ってしまった。一方でネット側にも、情報のチェック体制に対する甘さや、匿名と炎上というコントロール不可能な怖さが指摘される。  

米国で始まったハフィントン・ポストはAOLに買収されたが、既に3万人のブロガーを抱え、読者が議論をしながらニュースが配信される新しいスタイルを確立した。2013年5月には朝日新聞をホストに日本に上陸している。  

新陳代謝が早いネットメディアと対抗軸に置かれがちのこれまでのマスメディアが、どのような融合を魅せるのか。またビジネスとしてどのような発展、変化を遂げるのか。今後のワシントン・ポストに注目したい。

松村 太郎 ジャーナリスト

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まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

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