米国メディアは、ベゾスの買収をどう見たか? ワシントン・ポスト買収から始まる"メディア変革"

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 本連載は、GAFAに関するトピックを毎週1つないし複数採り上げながら、米国・シリコンバレーを中心とするIT事情を定点観測的にお伝えしていく。今回ピックアップする企業は、アマゾン。同社CEOのジェフ・ベゾス氏は、米国の新聞社の名門、ワシントン・ポストを2億5000万ドルで買収した。米国での様々な反応とテクノロジーサイドからの視点を考えてみよう。
ベゾスによるワシントン・ポスト買収は、米国中に衝撃を与えた(写真:AP/アフロ)

ベゾスが買収した「変わった会社」

「アマゾンのCEO、ジェフ・ベゾスが、ワシントン・ポストを2億5000万ドルで買収する」  

この話は米国中でトップニュースとして報じられた。何しろ、新聞社を買収したのは、東海岸きっての富豪やメディア王といったコンサバティブな業界ではなく、ネット業界、それもオンラインの書籍ストアのオーナーだったからだ。ただ、印象は普段どのようにアマゾンを利用しているかによって分かれる。  

アマゾンを、本や、あるいはキッチン用品からガジェットまで何でも購入できる「オンラインのデパート」だととらえている人からすれば、いまいち何が起きるかピンとこないかもしれない。一方、日々電子書籍デバイスのキンドルで本を読んでいる人からすれば、「ワシントン・ポストが毎朝キンドルに届くんじゃないか」という期待をするかもしれない。  

ただ、買収したのはアマゾンではなく、ベゾス個人の会社であり、この買収にアマゾンは企業として関与をしていない。また買収直後にベゾスが出したワシントン・ポストの社員への手紙は、性急な変化をもたらすよりは、もう少しじっくりと付き合う姿勢をみせるものだった。  

ちなみに、ベゾスは様々な「変わった会社」を買収していることでも知られている。ウェブサイト「Bezos Expedition」には、ベゾス氏が投資している企業のポートフォリオを見ることができる。  

例えば、ロング・ナウ協会が制作する、ネバダ州の地下に作られている「1万年時計」には4200万ドルを投じ、10000年動く時計の制作を行っている。また、皆さんもよくご存じのネット企業のLinden Lab(セカンド・ライフ)、Twitter、AirBnB、Uberも名を連ねている。また、TED2013でもデモを行った学習するロボットの企業Rethink Roboticsや、シアトルの博物館にも投資している。また、ビジネスメディアである「ビジネスインサイダー」に500万ドル出している。  

こうしたポートフォリオに、ワシントン・ポストが加わるのだ。

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