「スッキリ熟年離婚はおトク」は本当なのか

「慰謝料は多い人でも300万円」が現実

熟年離婚の慰謝料は、多くて300万円程度だという。いざとなったらスッキリするからしたほうがいい?(写真:プラナ/PIXTA)

一時期減少に転じていた離婚件数は、直近では再び少しずつ増える傾向にあるようです。2016年に厚生労働省が発表した「平成27年(2015)人口動態統計(確定数)の概況」でも、前年(2014年)に比べると4000組強増えています。

その中で、「同居期間が25年以上」といういわゆる熟年層の離婚は相変わらず高い水準にあります。長年連れ添った夫婦が離婚をするというのは普通に考えるとあまり幸せなこととはいえないでしょうが、それでも互いのこれからの人生にとってプラスになるのであれば、そういう選択をすることがあっても良いだろうと思います。

そもそも夫婦のことは、他人にはうかがい知れない面がありますので、良しあしを他人が簡単に言えるものではないことは確かです。ただ、一般的に考えた場合、少なくとも老後の生活ということで見れば、熟年離婚には2つの大きな問題があると思います。1つはおカネの問題、そしてもう1つは生活の問題です。

熟年離婚では、「慰謝料300万円」なら多いほう

まずはおカネの問題ですが、結論から言ってしまうと熟年での離婚というのは経済的には決してプラスにはなりません。むしろマイナスのケースのほうが多いと思います。

離婚の場合、金銭の問題でいうとすぐに慰謝料ということが頭に浮かびます。しかしながら、慰謝料というのは片方が何らかの理由で精神的な苦痛を受けた場合のことですから、離婚の場合につねに慰謝料が生じるとは限りません。

よくタレントやスポーツ選手が離婚する場合の巨額の慰謝料が話題になりますが普通一般の夫婦の場合にはあまり参考にはならないと考えたほうがいいでしょう。私が最近、一緒に本を書いた社会保険労務士の井戸美枝さんによれば、熟年離婚に該当するような20年以上の結婚期間があってもせいぜい300万円程度もあれば多いほうだそうです。

次ページでは、財産分与の「相場」は?
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