仕事が遅い人は「着手する順番」が誤っている 誤った「ボトムアップ思考」が問題だ

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誰でも仕事をする時間には限りがあります。限られた時間の中で最大限の結果を出し続けていくためには、まず、大きな視野を持って仕事の全容をとらえることです。それが投資対効果の高い仕事をする秘訣です。

ネコじゃらしに反応してしまうネコのように、目の前にある仕事に飛びついてスタートするのは得策ではありません。

数年先のカレンダーを意識すると、キャリア形成も可能

トップダウン思考は、自分のキャリアを実現するうえでも役立ちます。
もしあなたが10年後の「自分のあるべき姿」を脳裏に思い描けているのなら、これからの10年間の道筋の中で、「今、この瞬間、自分は何をすべきだろうか?」と考えてみてください。あなたは今、10年後の理想の自分につながる行動ができているでしょうか?

10年はちょっと先すぎる……というのなら、1年先、3年先、5年先でもいいでしょう。

1年後~ 携わっているプロジェクトが順調にリリースを迎えている
3年後~ 自分は課長職となり、数人の部下がいる
5年後~ 100人規模のプロジェクトをマネジメントしている
『仕事が速い人は「見えないところ」で何をしているのか?』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

このように「5年後、こうありたい」という姿(ゴール)が見えたならば、実際に年単位のカレンダーを見ながら逆算して、そこに到達するまでの細々としたステップを考えてみましょう。

5年先を見据えながら、「3年後にはこのレベル、2年後にはこのレベル、1年後、……1カ月後、1週間後……」と、徐々に直近に近づけて考えていくと、おそらく「まずいぞ、けっこう急がないと、間に合わないぞ!」という焦りが出てくるはずです。

キャリア形成においては、この焦りが重要です。

「思ったよりも時間がない」ということがわかっていると、不思議と、日々の仕事のモチベーションも変わってくるはずです。また、目の前にある愚痴レベルの不満なども、さほど気にならなくなるでしょう。

木部 智之 デロイトトーマツコンサルティング合同会社ディレクター

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きべ・ともゆき / Tomoyuki Kibe

横浜国立大学大学院環境情報学府工学研究科修了後、2002年日本IBM入社。数々の炎上プロジェクトの火を消し、エグゼクティブ・プロジェクト・マネージャーに。2018年よりパナソニックのソリューションビジネスの立ち上げに従事し、2020年最年少でパナソニックシステムソリューションズジャパン執行役員に就任。パナソニックコネクトカンパニー役員を経て、2022年9月より現職。人材育成にも力を注ぎ、社内外でビジネススキルに関する研修やセミナーを実施。主な著書に『プロジェクトのトラブル解決大全 小さな問題から大炎上まで使える「プロの火消し術86」』(KADOKAWA)、『入社1年目のビジネススキル大全 』(三笠書房)など。

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