仕事が遅い人は「着手する順番」が誤っている 誤った「ボトムアップ思考」が問題だ

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仕事も同じです。一生懸命に重箱の隅をつついている人の多くは、そこが「重箱の隅」であることすら気づいていません。仕事をしている本人は、まったく気づいていないのです。

仕事の細部にこだわりすぎて、本筋を見失ってしまうと、必ず、ヌケやモレが発生します。たとえば、作成している資料のデザインに凝りすぎて、最も重要なグラフが抜け落ちてしまうなど……。その結果、一生懸命やっているにもかかわらず、「あの人は仕事ができない」ということになるのです。

仕事をするうえで大切なのは、まず、全体と総量、さらには重要度を見極めることです。仕事の全体像をおさえたうえで、到達すべきゴールを決めます。そこから逆算して、手段や到達方法を決めてようやく、「さあ、仕事に着手!」という流れが理想です。

まどろっこしく感じられるかもしれませんが、これが最も効率的な方法であり、「トップダウン思考」という考え方です。

緊急時にこそ、立ち止まって全体を見る

人は本来、目の前のことに手をつけようとします。それが動物の本能だからです。

ポップコーンが1個落ちているのを見たハトが、それに手をつける前に「ほかにもポップコーンが落ちているかもしれない!」とキョロキョロ探しまわることはありませんよね。必ず、目の前のポップコーンに直行します。

それと同じで、人も「これ、お願い」と頼まれた仕事があれば、「よし、やろう」と着手するのが自然に沿った流れなのです。

つまりは、仕事を頼まれたときなどに、そこでひと呼吸おいて「全体像を見る」という行為は、自分で意識的にやらないとできないということです。トップダウン思考は、わざわざ「自分のクセ」として身に付けることによって、初めて獲得できるのです。

たとえば、私の抱えているプロジェクトでは、ときどき突発的な障害が起こり、迅速な対応が求められます。

このようなときにチームの様子を観察していると、トップダウン思考をしているか否かが、明らかに見てとれます。

たとえば若手などで「ボトムアップ思考」をしている人は、目の前に現れたトラブルに慌ててしまい、「あれをしなきゃ、これをしなきゃ」と急いで動いて、さらなる障害を引き起こしたり、対応に余計な時間がかかってしまいます。こういう人は、「木部さん、トラブルです!!」と慌てている割に、「何が問題なの?」と聞くと、整理して答えることができません。

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