トヨタが負けを認めた「ダイハツ流」の底力 奥平新社長が語るコンパクトカーの技術革新

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「250万台までの道のりは長いが、販売国をマレーシアやインドネシア以外にも広げていく。トヨタが持っている工場や販売網も活用し、東南アジアでダイハツがかかわるところを増やしていく」(奥平氏)

ダイハツがトヨタの新興国向け小型車を引っ張っていくのはなぜか。その理由について奥平氏は、「ダイハツがトヨタから認められたのは、軽自動車の経験に立脚した『良品廉価』な小型車づくりだと思う。特に新興国でダイハツの果たせる役割は大きい」とする。

トヨタ幹部が”負け”を認めた

ダイハツが開発・製造を手掛けた小型ワゴン「トール」は、日本国内でトヨタに別車名でOEM供給されている(撮影:尾形文繁)

トヨタでコンパクトカーカンパニーを率いる宮内一公専務役員も「(ダイハツから)謙虚に学んだ」という。同カンパニーは「アクア」や「ヴィッツ」、「シエンタ」といった主力小型車の開発・生産を担っている。

宮内氏は今年3月のトヨタの労使協議会で「われわれのカンパニーは厳しい経営状況にあることが明白になった。新興国では商品の多くが競争力不足で、われわれの実力では事業継続は困難であるという事実を突き付けられた」と吐露。「(ダイハツとの)生産性、競争力の埋めがたい差に大きな衝撃を受けた」と、”負け”を認めていた。

ダイハツの強みはどこにあるのか。奥平氏は「選択と集中がしっかりできている」と評価する。「インドネシア、マレーシア、日本の3カ国でコンパクトカーに絞って必要なリソースの使い方を究めてきた。そこでお客さんの求めることを探ってきたのが強い。トヨタにいた自分からすると、さすがだなと思う」(同)。そのうえで、「今後はそうした車づくりを強化していきたい。変えるのではなく、踏襲しながら進化させていく」と語った。

そうした中で現在進めているのが「DNGA」(ダイハツ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)と呼ばれる戦略で、企画、開発、調達、生産というすべての工程を見直していく。部品の共通化などをしながら「良品廉価」な車づくりを目指す。

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