「デリケートゾーン用」の石鹸は、なぜ必要か ボディソープがニオイやかゆみの原因にも

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髪をシャンプーで洗い、顔を洗顔料で洗うのと同じように、女性の外性器は専用洗浄剤で洗うのが欧米の常識だ(写真:zak / PIXTA)
私たちは本来、性とは無縁ではいられない。けれど、適切な知識を身に付ける機会がないまま大人になり、そのことによって不便や不都合を強いられていることも多々ある。たとえば、デリケートゾーンのケア。入浴時に何で洗っているだろうか? その洗浄剤が実は、かゆみやにおい、不快感の原因となっているかもしれない。だとしたら、いったい何で洗えばいいのか。
世界、特に欧米では「セクシャルヘルス」の意識が高く、性の健康を自身で管理することが常識となっていて、そのための商品も数多く販売されている。自己管理することがQOLの維持につながるという発想だが、一方でここ日本では、性教育が不十分だったり性をタブー視する風潮により、その考えが根付いていない。
これまで日本にはなかった、性に関する商品を販売している女性たちを2回の記事(繰り返し使える生理用品「月経カップ」の真実 と タブー視する日本人が知らない潤滑剤の真実)で紹介してきた。今回は、無添加のデリケートゾーン専用せっけんを開発・販売する女性だ。

女性器は低刺激のせっけんで洗浄すべき

美容系コンサルタント会社の女性代表である西村さんは、日本に帰国するたびに「アレがない」と困っていた。ドラッグストアにも見当たらない。日本の女性はどこでアレを購入しているのだろう?と首をかしげ、すぐに、この国ではほとんど販売されていないのだと気づいた。

アレとは、デリケートゾーン専用洗浄剤である。髪をシャンプーで洗い、顔を洗顔料で洗うのと同じように、女性の外性器は専用洗浄剤で洗う。米国在住20年目の西村さんにとって、それは常識だった。それなのに日本ではほとんどの女性がそのことを知らず、一般的なボディソープやせっけんで洗っている。「だったら私が専用洗浄剤を開発し、日本の市場を開拓しよう!」と西村さんは決意した。そのためにはまず「なぜいま使っているボディソープやせっけんではダメなのか」を知ってもらう必要がある、と覚悟を決めた。2012年のことだった。

女性器は、粘膜が露出しやすい。湯水だけでは、経血や尿などを含むタンパク質系の汚れを十分に落とせない。しかし一般的なボディソープや石けんは粘膜にとって刺激や洗浄力が強すぎて、常在菌や皮脂膜までも洗い流すことになり、それがかゆみや不快感、においの原因になりうる。しっかり洗ったつもりでかえって不快感を増幅させているとは、なんとも皮肉だ。毎日洗ってもトラブルを引き起こさない低刺激のせっけんで、洗浄する必要がある。

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