本当に働きやすい会社を見抜くポイント7選 就活生や転職希望者なら知っておきたい

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会社に仕事がなくて労働時間が短いなどは別問題だが、会社の収益が安定しているという前提においては、年間実労働時間が少なければ少ないほど、効率的な職場環境の会社と考えて大きくは外れないであろう。

なお、計算式に当てはめる数字は、求人の募集要項、会社のホームページ、会社説明会での質問、あるいは『就職四季報』(東洋経済新報社)などから拾える。

「正味時給」を計算する

(2)正味時給

求人情報を眺めていると、基本給の額面に目を奪われてしまいがちだが、「基本給」とは法律用語ではないので、その基本給の基礎となっている条件を確認する必要がある。

ここで、「正味時給」とは、次の計算式で求める時給と定義しよう。

正味時給=(基本給-固定残業代)÷月平均所定労働時間

すなわち「正味時給」は、支払われる純粋な基本給が、所定内労働1時間当たりいくらなのか、という指標である。

たとえば、楽天の新卒者の基本給について考察してみたい。

楽天の2018年新卒者の基本給は、同社ホームページの新卒者向け求人情報によると30万円とされており、一般的な相場以上の数字に見える。ただ、ここには40時間分の固定残業代として7万2151円が含まれている。また、1日の所定労働時間は7.5時間、年間所定休日は土日祝が休みとのことなので121日と仮定する。

そうすると、正味時給は次のようになる。

(300,000円-72,151円)÷{(365日-121日)÷12カ月×7.5時間}≒1494円

固定残業代は一律「良くないもの」というイメージを持たれているが、正味時給で換算して約1500円になるということは、大卒の新卒者の待遇としては悪くない。

参考までに、日本一の大企業であるトヨタ自動車の2018年新卒者の求人情報に基づく正味時給と比べても楽天の正味時給は上回っている。

206,000円÷{(365日-121日)÷12カ月×8時間}≒1266円

もちろん、入社後の昇給スピードや、その他の福利厚生、会社としての安定度などを総合勘案しなければならないが、正味時給で換算して、あまりにも低すぎる初任給には気をつけてほしい。

基本給の中に、みなし残業代、みなし深夜割増手当などいろいろなものが含まれていて、タケノコの皮剝ぎのように純粋な基本給以外の部分をそぎ落としていくと、最低賃金ギリギリだったとか、アルバイトの時給と逆転現象が起きていたという例も、私は見たことがある。

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